「固定残業45時間」の求人はやめとけ? 給料の中身と見送る線
「月給28万円(固定残業代45時間分を含む)」。求人票でよく見る書き方です。固定残業代そのものは違法ではありませんが、45時間という数字には意味があります。この記事では、45時間がどんな数字か、給料の中身の読み方、応募する前に確かめることと「この条件なら見送る」線をまとめました。
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固定残業代とは
固定残業代(みなし残業代)は、毎月決まった時間分の残業代を、あらかじめ給料に含めて払うしくみです。
大事なのは2つです。決まった時間より残業が少なくても、その分の残業代は減らないこと。そして、決まった時間を超えて働いた分は、別に払わなければならないことです。
求人に固定残業代を書くときは、金額、何時間分か、超えた分を追加で払うことの3つを示すことが求められています。どれかが抜けている求人は、面接で必ず確かめてください。
責任者
45時間は、法律の上限と同じ数字
残業(時間外労働)の上限は、法律で原則月45時間・年360時間と決められています。特別な事情があるときだけ、年6か月まで、これを超えることが認められています。
45時間分の固定残業代を含めるということは、毎月、法律の原則の上限まで残業することを想定した給料と読めます。ここが「やめとけ」と言われる理由です。
45時間働くと、1日はこうなる(例)
月20日出勤で45時間の残業をすると、1日あたり約2時間15分の残業になります。
| 時間 | すること |
|---|---|
| 9:00 | 始業 |
| 12:00 | 昼休み(1時間) |
| 18:00 | 定時 |
| 20:15 | 退社(約2時間15分の残業) |
毎日20時すぎまで働くと、平日の夜はほとんど自由な時間が残りません。実際の残業がこの水準なのか、もっと少ないのかが大きな分かれ目です。
45時間÷20日=2.25時間で計算。休憩を除いた所定労働時間を8時間とした場合。
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求人を紹介してもらう給料の中身を分けて読む
同じ「月給28万円」でも、固定残業代の有無で中身が大きく変わります。
| A社 | B社 | |
|---|---|---|
| 求人票の月給 | 28万円 | 28万円(固定残業45時間分を含む) |
| 基本給 | 28万円 | 約20.7万円 |
| 固定残業代 | なし(残業代は別に支給) | 約7.3万円(45時間分) |
| 残業がない月 | 28万円 | 28万円 |
B社の数字は、月の所定労働時間を160時間、残業の割増を25%として計算した例です(基本給÷160時間×1.25×45時間=固定残業代)。実際の金額は、求人票の内訳で確かめてください。賞与や退職金を基本給で計算する会社では、この差が将来の手取りにも響きます。
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求人票に書かなければいけない3つのこと
固定残業代のある求人では、次の3つを示すことが国の指針で求められています。
| 示すこと | 例 |
|---|---|
| 固定残業代を除いた基本給の額 | 基本給 207,000円 |
| 固定残業代の時間数と金額などの計算方法 | 固定残業代 73,000円(時間外労働45時間分) |
| 決めた時間を超えた残業・休日・深夜の労働に、割増賃金を追加で払うこと | 45時間を超えた分は別途支給 |
3つのうちどれかが抜けている求人は、それだけで注意が必要です。とくに「基本給がいくらか」が書いていない求人は、給料の中身が分かりません。
出典:職業安定法に基づく指針、青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)に基づく指針(厚生労働省)。
自分の固定残業代を計算してみる
たとえば基本給20.7万円、月の所定労働時間160時間なら、時給は約1,294円です。1.25倍すると約1,617円、45時間分で約7.3万円になります。求人票の固定残業代がこれより明らかに少ない場合は、計算のしかたを確かめてください。
深夜(22時〜5時)や法定休日の労働は、さらに割増率が上がります。固定残業代がどの労働を対象にしているかも見ます。
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求人を紹介してもらう裁判所はどう見ているか
固定残業代(定額残業代)が残業代の支払いとして認められるかは、裁判でもたびたび争われてきました。最高裁判所は2018年の判決(日本ケミカル事件)で、決まった手当が時間外労働の対価として払われているかどうかは、雇用契約書などの記載、会社の説明、実際の働き方などから判断するとしています。
つまり、「固定残業代」という名前がついているだけでは足りません。何時間分の、何の対価なのかが、書面と説明ではっきりしているかが大切です。入社前に労働条件通知書でこの点を確かめてください。
出典:最高裁判所第一小法廷 平成30年7月19日判決(裁判所の裁判例検索で公開)。判決の内容を分かりやすく要約したもので、個別の事案への当てはめは専門家にご相談ください。
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固定残業代の書き方でよくある例を3つ取り上げます(実在の会社の求人ではなく、よくある書き方の例です)。
| 求人票の書き方 | 読み方 | 面接で聞くこと |
|---|---|---|
| 月給28万円(固定残業代45時間分を含む) | 基本給と固定残業代の金額が分からない | 基本給と固定残業代のそれぞれの金額 |
| 月給28万円(固定残業代 月45時間分 7.3万円を含む、超過分は別途支給) | 必要なことは書いてある。あとは実際の残業時間 | 実際の月平均の残業時間 |
| 月給28万円(みなし残業含む) | 時間数も金額も書いていない | 何時間分か、超えた分は払われるか |
求人票と面接で確かめること
1. 内訳が書いてあるか
基本給と固定残業代の金額、何時間分かが分けて書いてあるかを見ます。
2. 超えた分を払うと書いてあるか
「45時間を超えた分は別途支給」と書いてあるかを見ます。
3. 実際の残業時間
「固定残業が45時間分ですが、実際の月平均はどのくらいですか」と聞きます。実際は10時間ほどなら、残業が少ないのに固定残業代はもらえる形です。
4. 勤怠の記録のしかた
固定残業代がある会社でも、働いた時間は記録する必要があります。どう記録しているかを聞きます。
面接で直接聞きにくいことは、弊社エージェントが代わりに確認します
- 社員が実際に毎月何時間残業しているか(部署ごと)
- 45時間を超えた月に、超えた分が払われているか
- 残業が多くて辞めた人がいるか
お金と残業の実態は、応募する本人からは聞きにくい項目です。弊社のエージェント経由で応募する場合は、担当者が企業に確かめたうえでお伝えします。
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求人を紹介してもらう入社したあとにやること
固定残業代のある会社では、入社してからの確かめ方も大切です。
毎月、自分の働いた時間を記録する
会社の勤怠の記録とは別に、出社・退社の時刻をスマホのメモなどに残しておきます。固定残業の時間を超えていないかを、自分で確かめられます。
給与明細で、固定残業代と追加の残業代を見る
明細に「固定残業手当」と、それを超えた分の「時間外手当」が分けて書かれているかを見ます。超えた月に追加の残業代が出ていなければ、会社に確かめます。
深夜と休日の扱いを確かめる
22時以降の深夜労働や、休日の労働は割増率が上がります。固定残業代がそれらも含むのか、別に払われるのかを就業規則で確かめます。
責任者
超えた分が払われないときの相談先
まずは会社の担当者に、給与明細と自分の記録を見せて確かめます。それでも解決しない場合は、次の窓口に相談できます。
| 窓口 | 相談できること |
|---|---|
| 総合労働相談コーナー(各都道府県の労働局・労働基準監督署内) | 労働条件の相談全般。予約不要・無料 |
| 労働基準監督署 | 残業代の未払いなど、法律違反の疑いがある場合 |
| 法テラス | 弁護士への相談。収入などの条件により無料相談の制度がある |
相談のときは、給与明細・自分の勤務記録・雇用契約書(労働条件通知書)を持っていくと話が早く進みます。
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固定残業代の求人で見ること
- 金額・時間数・超えた分の支払いが書いてあるか
- 基本給はいくらか
- 実際の月平均の残業時間
- 勤怠をどう記録しているか
くわしい見分け方は、ブラック企業の見分け方の記事でも説明しています。
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固定残業代とみなし残業は同じですか?
一般には同じ意味で使われます。ただ、「みなし労働時間制」という別の制度もあるため、求人の書き方が分かりにくいときは、何時間分の残業代が含まれているかを確かめてください。
固定残業代が書いていない求人は違法ですか?
固定残業代があるのに、基本給の額・時間数・超えた分の支払いを示していない求人は、国の指針に沿っていません。面接で必ず確かめてください。
固定残業代の時間より残業が少ないと、給料は減りますか?
減りません。決まった時間より残業が少なくても、固定残業代は全額支払われます。
固定残業代を計算したら、求人の金額と合いません。
計算のもとになる所定労働時間や手当の扱いで変わることがあります。会社に計算のしかたを確かめ、それでも納得できない場合は労働基準監督署に相談できます。
20代の転職で、固定残業代のある会社は避けたほうがいいですか?
一律に避ける必要はありません。基本給がいくらか、実際の残業が何時間かを確かめ、ほかの会社と比べて判断してください。
固定残業代45時間は違法ですか?
固定残業代のしくみ自体は違法ではありません。ただし、超えた分の残業代を払わないことは認められません。また、45時間は法律の原則の上限と同じ時間なので、実際の残業時間を確かめることが大切です。
残業がなくても固定残業代はもらえますか?
もらえます。決まった時間より残業が少なくても、固定残業代は減りません。
45時間を超えたらどうなりますか?
超えた分は、追加の残業代として支払われる必要があります。払われない場合は、労働基準監督署などに相談できます。
固定残業代のない求人のほうがいいですか?
一概には言えません。固定残業代がなく残業代が全額支給される会社もあれば、固定残業代があっても実際の残業が少ない会社もあります。内訳と実際の残業時間で比べてください。
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