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やめとけ図鑑2026-10-28 公開 | 約10分で読めます

「完全歩合」の求人はやめとけ? 未経験で入る前に見る条件と見送る線

監修 ・ 人材紹介事業 責任者 木下美紀 やめとけ図鑑 「完全歩合」の求人はやめと け? 未経験で入る前に見る 条件と見送る線 samurai HR | 2026-10-28

「完全歩合で月収100万円も可能」「フルコミッションだから頑張った分だけ稼げる」。こうした求人は魅力的に見えますが、未経験で入ると、売れない月の収入がほとんどない、ということが起こりえます。じつは、会社に雇われて働く人の場合、法律で「完全歩合」にはできない決まりがあります。この記事では、法律の決まり、業務委託との違い、収入の計算の例、求人票と面接で確かめること、「この条件なら見送る」線をまとめました。

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「完全歩合」とは

完全歩合は、決まった基本給がなく、売上や契約の数に応じた分だけが収入になる働き方です。「フルコミッション」「フルコミ」とも呼ばれます。

歩合のつき方は3つある 固定給のみ 毎月決まった額 成果で変わらない 固定給+歩合 基本給があり 成果の分が上乗せ 完全歩合 基本給がない 成果の分だけ
雇われて働く人に、3つ目の「完全歩合」は使えません(次の章)。

求人でよく見る言葉

言葉意味
完全歩合・フルコミッション基本給なし。成果に応じた報酬だけ
歩合給・インセンティブ基本給とは別に、成果に応じて上乗せされる分
出来高払い作った数・運んだ数など、仕事の量に応じて払う方法
業務委託・個人事業主会社に雇われず、仕事を請け負う形

固定給と歩合を組み合わせた求人の読み方は、「歩合制・インセンティブ」の記事にまとめています。

木下美紀人材紹介事業
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木下美紀

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法律の決まり:雇われる人は「完全歩合」にできない

会社に雇われて働く人(労働者)には、労働基準法と最低賃金法が当てはまります。そのため、成果がゼロなら給料もゼロ、という払い方はできません。

決まり内容
保障給(労働基準法第27条)出来高払いや歩合で払う場合でも、会社は働いた時間に応じて一定の額を保障しなければならない
最低賃金(最低賃金法第4条)歩合で払う場合も、給料の合計を働いた時間で割った額が、都道府県ごとの最低賃金を下回ってはいけない
残業代(労働基準法第37条)歩合で払う場合も、法定の時間をこえて働いた分の割増賃金が必要
社会保険・労災保険条件を満たせば加入する。仕事中のけがは労災保険の対象

保障給の額について、国の通達は「ふだんの収入と大きく離れない程度」を保障するよう求めています。最低賃金は毎年改定されるので、最新の額は厚生労働省のページで確かめてください。

出典:労働基準法第27条・第37条、最低賃金法第4条、労働基準法施行規則第19条、厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」。

業務委託の「完全歩合」とは何が違うか

完全歩合の求人の多くは、会社に雇われない「業務委託」の形です。この場合は労働基準法が当てはまらず、保障給も最低賃金もありません。

雇われて働く(正社員など)業務委託(個人事業主)
収入の下限保障給・最低賃金があるない(売れなければ0円もありえる)
残業代あるない
社会保険会社の健康保険・厚生年金自分で国民健康保険・国民年金
経費会社が払う交通費・電話代などを自分で払うことが多い
税金会社が給料から差し引く自分で確定申告

名前は業務委託でも、中身で決まる

契約書が「業務委託」でも、働く時間や場所を細かく決められ、指示どおりに動いているなら、法律では労働者と判断されることがあります。見られるのは、仕事を断れるか、指示の強さ、時間と場所の縛り、ほかの人に代わってもらえるか、などです。

2024年11月からは、フリーランスと取引する会社に、条件を書面などで示すことや、決まった期日までに報酬を払うことを求める法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)も始まっています。

出典:労働基準法研究会報告「労働基準法の『労働者』の判断基準について」(昭和60年)、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(2024年11月1日施行)。

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全国のデータ:残業の割増率と、営業職が多い業種の給料

雇われて働く人の場合、歩合で払われていても残業の割増は必要です。国の調査では、残業の割増率を決めている会社のうち94.2%が「25%」でした。

残業の割増率を「一律に決めている」会社の内訳 25% 94.2% 26%以上 5.5%
1か月60時間をこえる残業は、50%以上の割増が必要です。

出典:厚生労働省「令和6年就労条件総合調査」(第14表)。

営業職が多い業種の給料(参考)

年齢全体卸売業・小売業
20〜24歳23.25万円23.06万円
25〜29歳26.72万円26.61万円

決まって払われる給料(残業代などを除く)の平均です。その業種で働く人全体(職種を問わない)の数字なので、営業職だけの数字ではありません。完全歩合の求人に書かれた「月収100万円」は、この平均と比べてかなり上の、一部の人の例と考えておきましょう。

出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(一般労働者・男女計・所定内給与額)。

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計算で見る:完全歩合の手取りは「経費」で変わる

業務委託の完全歩合で、売上の30%が報酬になる例を考えます(計算のための例です)。

売れた月売れなかった月
自分の売上200万円30万円
報酬(30%)60万円9万円
経費(交通費・電話代など)−5万円−5万円
国民健康保険・国民年金(目安)−4万円−4万円
手元に残る額約51万円約0万円

税金はさらに別にかかります。売れなかった月は、経費と保険料でほぼ0円になることがわかります。

雇われて歩合で働く場合の残業代

雇われて歩合で払われる人の残業代は、歩合給÷その月に働いた時間×0.25×残業時間で出します。歩合給24万円・月200時間(うち残業40時間)なら、24万÷200×0.25×40=1.2万円です(基本給の分の残業代は別に計算します)。

計算で見えること

  • 完全歩合は、売れない月の手取りがほぼ0円になりえる
  • 経費と保険料を自分で払うかどうかで、手取りは大きく変わる
  • 雇われていれば、歩合でも残業代と最低賃金がある

なぜ「やめとけ」と言われるのか

完全歩合そのものが悪いわけではありません。経験と顧客がある人には、稼げる働き方です。ただ、未経験の20代には次の点で合わないことが多くあります。

よく聞く声実際に起きやすいこと
最初の数か月、収入がほぼなかった仕事を覚えるまで売れず、生活費が足りなくなる
研修がなかった教える人の収入にならないので、教えてもらえない
経費が思ったよりかかった交通費・電話代・名刺代などを自分で払う
正社員だと思っていた入ってから業務委託の契約だと知る
辞めたくても辞めにくい研修費の返金や違約金を求められる

とくに「正社員だと思っていた」は、求人票の書き方で防げます。雇用形態の欄を必ず見ましょう。

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求人票の実例を読む

「完全歩合」が出てくる、よくある書き方を3つ取り上げます(実在の会社の求人ではなく、よくある書き方の例です)。

求人票の書き方読み方面接で聞くこと
雇用形態:業務委託/報酬:完全歩合(売上の30〜50%)雇われない形。収入の下限はない経費の負担と、売れた人・売れない人の割合
雇用形態:正社員/給与:完全歩合制雇われる人に完全歩合は使えない。書き方が正しくない保障給の額と、最低賃金の計算
正社員/月給20万円+インセンティブ(月平均5万円)固定給に上乗せの形インセンティブの計算方法と、平均の出し方

2つ目のように「正社員なのに完全歩合」と書かれた求人は、決まりを知らずに書いているか、実際は業務委託の可能性があります。

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求人票と面接で確かめること

雇用形態と契約書の名前

正社員・契約社員なのか、業務委託なのかを、契約書の名前まで確かめます。

収入の下限

雇われるなら保障給の額、業務委託なら最初の数か月の支え(固定の報酬など)があるかを聞きます。

経費の負担

交通費・電話代・資料代を、会社と自分のどちらが払うかを確かめます。

入った人のその後

入って半年後、どのくらいの人が続いているか、収入はどのくらいかを聞きます。

この条件なら、見送りを考える 正社員と書いてあるのに、基本給も保障給もない 業務委託なのに、出社の時間や場所を細かく決められる 研修費や登録料を、自分で払うよう求められる 辞めるときの違約金や、研修費の返金が決まっている
1つでも当てはまれば、ほかの会社と比べてから決めるのがおすすめです。

面接で直接聞きにくいことは、弊社エージェントが代わりに確認します

  • 入った人の、最初の3か月の収入
  • 経費のうち、自分で払うもの
  • 契約書の名前と、雇用形態

入社したあとにやること

歩合のある働き方で働き始めたら、働いた時間と、受け取った額を自分でも記録しましょう。

歩合の仕事を始めた最初の1か月 初日 契約書と 計算の決まりを保存 毎日 始まりと終わりを メモする 月末 時給にすると いくらか計算 給料日 明細と メモを比べる
時給にして最低賃金を下回っていたら、まず人事に確かめましょう。
確かめることどこで見るか
歩合の計算の決まり雇用契約書・業務委託契約書、賃金規程
働いた時間勤怠の記録、自分のメモ
保障給・残業代給料の明細
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木下美紀

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困ったときの相談先

保障給がない、時給にすると最低賃金を下回る、業務委託なのに指示どおりに働かされている、などで困ったときは、公的な窓口に無料で相談できます。

窓口相談できること
総合労働相談コーナー(各都道府県の労働局・労働基準監督署の中)職場のトラブル全般
労働基準監督署最低賃金や残業代など、法律に反しているおそれがあるとき
フリーランス・トラブル110番(厚生労働省の委託事業)業務委託の報酬や契約のトラブル

相談するときは、契約書、給料や報酬の明細、働いた時間のメモを持っていくと話が早く進みます。法律の判断が必要なことは、この記事では答えられません。

無料・メールで届きます入社前チェックシート(18項目)求人票8項目・面接6項目・内定後4項目。応募の前に、1枚で確認できます。 メールで受け取る

まとめ:完全歩合は「雇われるのか、請け負うのか」で読む

「完全歩合」の求人で見ること

  • 雇用形態は正社員などか、業務委託か
  • 雇われるなら、保障給と最低賃金があるか
  • 業務委託なら、経費と保険料を自分で払うか
  • 最初の数か月の収入の支えがあるか
  • 研修費・違約金の決まりがないか

完全歩合は、経験と顧客がある人には向く働き方です。未経験の20代は、まず固定給がある仕事で力をつけてから選ぶほうが、生活が安定します。「月収100万円」という言葉だけで決めず、契約の形と収入の下限を確かめてから応募しましょう。

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よくある質問

正社員で完全歩合の会社はありますか?

雇われて働く人には、労働基準法で保障給が、最低賃金法で最低賃金が決められているため、成果がゼロなら給料もゼロ、という完全歩合にはできません。

完全歩合と歩合制の違いは何ですか?

歩合制は基本給に成果の分を上乗せする形が多く、完全歩合は基本給がなく成果の分だけが収入になる形です。

業務委託の完全歩合には最低賃金がありますか?

ありません。業務委託は労働基準法や最低賃金法が当てはまらないため、売れなければ収入が0円になることもあります。

歩合で払われる人にも残業代は出ますか?

雇われて働く人なら出ます。歩合給をその月に働いた時間で割り、0.25をかけて残業時間分を出すのが基本です。

保障給はいくらですか?

法律で額は決まっていません。国の通達は、ふだんの収入と大きく離れない程度を保障するよう求めています。最低賃金を下回ることはできません。

業務委託なのに出社時間を決められています。

働く時間や場所を細かく決められ、指示どおりに動いている場合は、法律で労働者と判断されることがあります。総合労働相談コーナーに相談できます。

完全歩合で未経験から稼げますか?

稼げる人もいますが、仕事を覚えるまでの数か月は収入が少なくなりやすいです。生活費の余裕と、研修の有無を確かめてから決めましょう。

研修費の返金を求められました。

辞めたときの違約金や損害賠償の額をあらかじめ決めることは、雇われて働く人の場合、労働基準法で禁じられています。くわしくは公的な窓口に相談してください。

どこに相談すればいいですか?

雇われて働く人は総合労働相談コーナー、業務委託の人はフリーランス・トラブル110番に無料で相談できます。

固定給のある営業の求人を探したいです。

samurai HRでは、給料や働き方の希望を伺ったうえで、未経験から応募できる求人をご案内しています。相談は無料です。

木下美紀
監修:木下美紀(samurai HR 人材紹介事業 責任者) 年間100名の求職者の転職を支援しています。 執筆:samurai HR 編集部(株式会社SAMURAI不動産/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-319169)。20代・30代の未経験からの転職を支援しています。

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