「年俸制」の求人はやめとけ? 残業代・賞与の読み方と見送る線
「年俸制・年収400万円〜」と書かれた求人は、外資系企業やIT企業のようで、かっこよく見えるかもしれません。一方で、「年俸制だから残業代は出ない」「ボーナスがない」という話を聞いて不安になる人もいるでしょう。この記事では、年俸制の法律の決まり、残業代と賞与の計算の例、裁判所の判断、途中で年俸を下げられるか、求人票と面接で確かめること、「この条件なら見送る」線をまとめました。
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年俸制とは
年俸制は、1年分の給料の総額を、あらかじめ決めておくしくみです。決めた額を、毎月に分けて払います。
月給制とのちがい
| 月給制 | 年俸制 | |
|---|---|---|
| 決め方 | 月ごとの額を決める | 1年分の額を決める |
| 見直しの時期 | 昇給の時期(年1回が多い) | 1年ごと(前の年の成果で決めることが多い) |
| 賞与 | 別に業績で決まることが多い | 年俸の中に入っていることが多い |
| 残業代 | 払われる | 払われる(年俸制でも同じ) |
責任者
法律の決まり:年俸制でも、残業代と毎月払いは必要
年俸制は、法律で特別に認められた制度ではありません。給料の決め方の一つなので、ふつうの給料と同じ決まりが当てはまります。
| 決まり | 内容 |
|---|---|
| 毎月払い(労働基準法第24条) | 給料は毎月1回以上、決まった日に払う。年に1回まとめて払うことはできない |
| 残業代(労働基準法第37条) | 1日8時間・週40時間をこえた分は、年俸制でも割増賃金が必要 |
| 賞与を含む年俸 | 賞与の額があらかじめ決まっているなら、その分も残業代の計算に入れる |
| 残業代を年俸に含める場合 | 何時間分でいくらか、ふつうの給料と分けてわかるようにする必要がある |
「年俸制だから残業代は出ない」は、管理監督者など、法律で決められた一部の人を除いて、当てはまりません。
出典:労働基準法第24条・第37条、平成12年3月8日 基収第78号(年俸制の割増賃金の算定基礎)。
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求人を紹介してもらう全国のデータ:残業の割増率は「25%」がほとんど
年俸制の会社でも、残業代の割増率は月給制と同じです。国の調査では、残業の割増率を一律に決めている会社のうち94.2%が「25%」でした。
| 会社の大きさ | 割増率を26%以上にしている会社 |
|---|---|
| 1,000人以上 | 19.1% |
| 300〜999人 | 11.9% |
| 100〜299人 | 6.5% |
| 30〜99人 | 3.9% |
出典:厚生労働省「令和6年就労条件総合調査」(第14表・第15表)。
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計算で見る:賞与を含む年俸の残業代
年俸480万円を16分割し、毎月24万円・夏と冬に48万円ずつ払う例です。月の所定労働時間は160時間とします(計算のための例です)。
| 賞与を入れずに計算(誤り) | 賞与を入れて計算(正しい) | |
|---|---|---|
| 計算のもとにする額 | 月24万円 | 480万円÷12=月40万円 |
| 1時間あたりの給料 | 24万÷160=1,500円 | 40万÷160=2,500円 |
| 残業1時間の残業代(1.25倍) | 1,875円 | 3,125円 |
| 月20時間残業したとき | 3.75万円 | 6.25万円 |
年俸の額があらかじめ決まっていて、その一部を賞与として払う場合は、賞与の分も計算のもとに入れるのが国の考え方です。入れないと、月に2.5万円も少なくなります。
計算で見えること
- 年俸制でも、残業代は払われる
- 決まった賞与の分は、残業代の計算に入る
- 求人の「月給」だけを見ると、時給を低く見積もってしまう
裁判所の判断:高い年俸でも「残業代込み」とはいえないとされた例
年俸1,700万円の医師が、残業代を求めた事件です。会社は「残業代は年俸に含まれている」と主張しました。
| 争点 | 裁判所の判断 |
|---|---|
| 年俸に残業代が含まれているか | 年俸のうち、どこまでがふつうの給料で、どこからが残業代か分けてわからない |
| 年俸が高いことは関係するか | 年俸が高くても、分けてわからなければ、残業代を払ったことにならない |
| 結果 | 残業代が払われたとはいえないとして、高等裁判所に審理のやり直しを命じた |
年俸の額が高くても、「残業代込み」と言うだけでは足りないことを示した判決です。
出典:最高裁判所 平成29年7月7日 第二小法廷判決(裁判所ウェブサイト「裁判例検索」)。
途中で年俸を下げられるか
年俸は、1年ごとに話し合って決めるのがふつうです。年の途中で会社が一方的に下げることは、原則としてできません。次の年の額について合意できない場合に、会社が自由に決められるわけでもない、とした高等裁判所の判決もあります。
出典:東京高等裁判所 平成20年4月9日判決。
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求人を紹介してもらうなぜ「やめとけ」と言われるのか
年俸制そのものが悪いわけではありません。1年の収入が見通しやすく、成果が年俸に反映されるのは、年俸制のよいところです。ただ、未経験の20代には次の点で合わないことがあります。
| よく聞く声 | 実際に起きやすいこと |
|---|---|
| 残業代が出なかった | 「年俸制だから」と残業代が払われていない |
| ボーナスがなかった | 賞与が年俸に入っていて、別にもらえない |
| 次の年に大きく下がった | 成果の評価で、年俸が下がった |
| 評価の基準がわからない | 何をすれば上がるのか、説明がない |
| 月の手取りが思ったより少ない | 16分割で、毎月の額が小さい |
未経験の1年目は、成果を出しにくい時期です。2年目の年俸がどう決まるかを、入る前に聞いておきましょう。
未経験歓迎希望に合う求人を、ご紹介します希望の職種と連絡先を入れるだけ。営業・事務・IT・施工管理などから、担当者がお探しします。 求人を紹介してもらう求人票の実例を読む
「年俸制」が出てくる、よくある書き方を3つ取り上げます(実在の会社の求人ではなく、よくある書き方の例です)。
| 求人票の書き方 | 読み方 | 面接で聞くこと |
|---|---|---|
| 年俸384万円(12分割・月32万円)、時間外手当は別途支給 | わかりやすい形。残業代は別に払われる | 次の年の年俸の決め方 |
| 年俸420万円(固定残業代30時間分・月6万円を含む)、超過分は別途支給 | 何時間分でいくらか、分けて書いてある | 30時間をこえた月の払われ方 |
| 年俸制(残業代込み)、年収400万円以上可 | 何時間分か、いくらかが書いていない | 残業代にあたる額と時間 |
3つ目のように「残業代込み」とだけ書かれた求人は、裁判所の判断でいう「分けてわからない」形になっているおそれがあります。固定残業代の読み方は「固定残業30時間」の記事も参考になります。
求人票と面接で確かめること
何分割で払うか
12分割か、賞与の分があるか。毎月いくら払われるかを確かめます。
残業代の扱い
別に払うのか、固定残業代を含むのか。含むなら、何時間分でいくらかを聞きます。
次の年の決め方
評価の基準、話し合いの時期、下がることがあるかを聞きます。
1年目の評価
未経験で入った人の、2年目の年俸がどう変わったかを聞きます。
面接で直接聞きにくいことは、弊社エージェントが代わりに確認します
- 年俸に含まれる残業代の時間と額
- 未経験で入った人の、2年目の年俸
- 評価の基準と、話し合いの時期
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求人を紹介してもらう入社したあとにやること
年俸制で働き始めたら、年俸の内訳と、毎月の残業を自分でも確かめましょう。
| 確かめること | どこで見るか |
|---|---|
| 年俸の額・分割の方法・残業代の扱い | 雇用契約書、労働条件通知書、賃金規程 |
| 働いた時間 | 勤怠の記録、自分のメモ |
| 残業代 | 給料の明細 |
責任者
困ったときの相談先
年俸制を理由に残業代が払われない、年の途中で年俸を下げられた、などで困ったときは、公的な窓口に無料で相談できます。
| 窓口 | 相談できること |
|---|---|
| 総合労働相談コーナー(各都道府県の労働局・労働基準監督署の中) | 職場のトラブル全般 |
| 労働基準監督署 | 残業代が払われないなど、法律に反しているおそれがあるとき |
| 労働条件相談ほっとライン(厚生労働省の委託事業) | 夜や土日も電話で相談できる |
相談するときは、雇用契約書、賃金規程、働いた時間のメモ、給料の明細を持っていくと話が早く進みます。法律の判断が必要なことは、この記事では答えられません。
無料・メールで届きます入社前チェックシート(18項目)求人票8項目・面接6項目・内定後4項目。応募の前に、1枚で確認できます。 メールで受け取るまとめ:年俸制は「内訳と次の年の決め方」で読む
「年俸制」の求人で見ること
- 何分割で、毎月いくら払われるか
- 残業代は別か、何時間分を含むか
- 決まった賞与の分は、残業代の計算に入っているか
- 次の年の年俸の決め方と、評価の基準
- 未経験で入った人の、2年目の年俸
年俸制は、内訳がはっきりしていれば、1年の収入を見通しやすいしくみです。「年俸○万円」という額だけで決めず、内訳と、次の年の決め方を確かめてから応募しましょう。
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年俸制だと残業代は出ないのですか?
出ます。年俸制は給料の決め方の一つなので、1日8時間・週40時間をこえた分は割増賃金が必要です。管理監督者など、法律で決められた一部の人を除きます。
年俸制の給料は年に1回払いですか?
いいえ。給料は毎月1回以上、決まった日に払う決まりなので、年俸を分けて毎月払います。
年俸制にボーナスはありますか?
年俸を14〜16に分けて、一部を賞与として払う会社があります。この場合、賞与は年俸の中に入っています。
賞与を含む年俸の残業代は、どう計算しますか?
賞与の額があらかじめ決まっている場合は、その分も含めた年俸を12で割った額をもとに計算するのが国の考え方です。
年俸が高ければ、残業代は込みにできますか?
最高裁判所は、年俸1,700万円の医師について、ふつうの給料と残業代が分けてわからない場合は、残業代を払ったことにならないと判断しました。
年の途中で年俸を下げられることはありますか?
年の途中で会社が一方的に下げることは、原則としてできません。次の年の額は話し合って決めます。
未経験でも年俸制の会社に入れますか?
入れます。ただ、1年目は成果を出しにくいので、2年目の年俸の決め方を面接で確かめましょう。
年俸制と月給制、どちらがいいですか?
どちらにもよいところがあります。年俸制は1年の収入が見通しやすく、月給制は昇給や賞与が別に決まることが多いです。内訳で比べましょう。
どこに相談すればいいですか?
総合労働相談コーナー(労働局・労働基準監督署の中)に無料で相談できます。
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