「固定残業30時間」の求人はやめとけ? 給料の中身と見送る線
「固定残業代30時間分を含む」と書いてある求人は、毎月30時間分の残業代が、はじめから給料に入っているという意味です。30時間を毎月続けると1年で360時間になり、法律で決まった残業の上限(原則)と同じ数字になります。この記事では、給料の中身の分け方、固定残業代が正しく計算されているかの確かめ方、職種ごとの実際の残業時間との比べ方を整理し、応募する前に確かめることと「この条件なら見送る」線をまとめました。
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固定残業代とは
固定残業代(みなし残業代)は、実際に残業したかどうかにかかわらず、決まった時間分の残業代を毎月払うしくみです。「固定残業代30時間分を含む」なら、月30時間分の残業代が給料に入っています。
固定残業代そのものは、法律で禁止されているわけではありません。ただし、正しく計算され、超えた分がきちんと払われていることが前提です。くわしい考え方は「固定残業45時間」の求人はやめとけ?でもまとめています。
責任者
30時間は、1年で「残業の上限」と同じになる
残業は、会社と働く人の代表が協定(36協定)を結んだうえで、原則 月45時間・年360時間までと法律で決まっています。
| 固定残業の時間 | 毎月その時間まで残業すると | 年360時間(原則の上限)との比較 |
|---|---|---|
| 20時間 | 年240時間 | 上限の3分の2 |
| 30時間 | 年360時間 | 上限と同じ |
| 45時間 | 年540時間 | 毎月続けると上限を超える |
月30時間は、毎月続けても法律の原則の範囲に入ります。ただし、1年を通してちょうど上限まで残業する前提の数字でもあります。30時間ぎりぎりまで残業する月が続く職場かどうかを、確かめることが大切です。
出典:労働基準法第36条(時間外及び休日の労働)。特別な事情がある場合の上限は、年720時間など別に決まっています。
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求人を紹介してもらう職種ごとの実際の残業と比べる
30時間という数字が多いのか少ないのか、20代後半の人が実際にどのくらい残業しているかと比べてみます。
出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」第5表(職種(小分類)、年齢階級別、産業計)。一般労働者・男女計の25〜29歳の超過実労働時間数(6月分)。
どの職種でも、20代後半の平均の残業は月30時間より少ない結果でした。事務の職種なら平均は月11〜13時間です。事務の求人で固定残業30時間なら、平均よりかなり多い残業を前提にしている可能性があります。
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給料の中身を分けて読む
固定残業代がある求人では、月給を基本給と固定残業代に分けて読みます。ボーナスや残業代の計算のもとになるのは、ふつう基本給のほうです。
| 求人票の書き方 | 基本給 | 固定残業代 |
|---|---|---|
| 月給25万円(固定残業代30時間分・4万円を含む) | 21万円 | 4万円 |
| 月給25万円(固定残業代を含む) | わからない | わからない |
| 基本給21万円+固定残業代4万円(30時間分) | 21万円 | 4万円 |
2つ目のように金額も時間も書いていない求人は、決まりを守っていない書き方です。応募する前に必ず中身を聞いてください。
求人票に書かなければいけない3つのこと
厚生労働省は、固定残業代のある求人に、次の3つを書くよう決めています。
固定残業代のある求人に書くこと
- 固定残業代を除いた基本給の額
- 固定残業代の時間数と金額などの計算のしかた
- 固定残業の時間を超えた分は、追加で払うこと
3つのうち1つでも書いていない求人は、ほかの条件も含めて慎重に見たほうがよいでしょう。
出典:厚生労働省「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします」(青少年の雇用の促進等に関する法律に基づく指針・職業安定法に基づく指針)。
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求人を紹介してもらう自分で計算して、正しいか確かめる
固定残業代が、本当に30時間分の残業代になっているかは、自分で計算できます。月給25万円(固定残業代30時間分・4万円を含む)、1か月の平均の所定労働時間を160時間として計算します。
| 計算 | 式 | 結果 |
|---|---|---|
| 1時間あたりの基本給 | 21万円÷160時間 | 1,312.5円 |
| 残業1時間の残業代(25%増し) | 1,312.5円×1.25 | 約1,641円 |
| 30時間分の残業代 | 約1,641円×30時間 | 約4.9万円 |
| 求人の固定残業代 | ― | 4万円 |
この例では、30時間分の残業代は約4.9万円になるはずなのに、固定残業代は4万円しかありません。4万円で払われているのは、約24時間分です。このように計算が合わない場合は、面接や内定のあとに、計算のしかたを確かめてください。
計算するときの注意
- 1か月の平均の所定労働時間は、会社の年間休日と1日の働く時間で変わります
- 基本給を時給に直したとき、都道府県の最低賃金を下回っていないかも確かめます
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適職診断をする(無料)裁判所はどう見ているか
固定残業代が残業代の支払いとして認められるかは、裁判でも争われてきました。最高裁判所は、ふつうの給料と残業代の部分が区別できるか、その手当が本当に残業の対価として払われているかを見ると示しています。
| 見られる点 | 中身 |
|---|---|
| 区別できるか | 基本給と固定残業代の金額が、はっきり分かれているか |
| 残業の対価か | 契約や説明で、残業の代わりとして払うと示されているか |
| 実際の働き方 | 実際の残業の時間と、大きくかけ離れていないか |
区別できない形で払われていた場合、固定残業代が残業代と認められず、あらためて残業代の支払いが命じられた例もあります。
出典:最高裁判所 平成30年7月19日判決、令和2年3月30日判決(裁判所ウェブサイト「裁判例検索」)。
未経験歓迎希望に合う求人を、ご紹介します希望の職種と連絡先を入れるだけ。営業・事務・IT・施工管理などから、担当者がお探しします。 求人を紹介してもらう求人票の実例を読む
固定残業30時間の求人でよくある書き方を3つ取り上げます(実在の会社の求人ではなく、よくある書き方の例です)。
| 求人票の書き方 | 読み方 | 面接で聞くこと |
|---|---|---|
| 月給25万円(固定残業代30時間分・4万円を含む/超過分は別途支給) | 3つの決まりがそろったよい書き方。ただし計算は確かめる | 実際の残業の平均時間 |
| 月給25万円〜(固定残業代含む) | 時間も金額も書いていない | 基本給と固定残業代の金額、時間 |
| 一般事務/月給22万円(固定残業30時間分含む)/残業ほぼなし | 残業がないのに30時間分が入っている | 本当の残業時間と、基本給の額 |
3つ目のように、残業がほとんどないと言いながら30時間分が入っている求人は、基本給が低く抑えられていることがあります。ボーナスの額にも響くので、基本給の額を必ず確かめてください。
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求人を紹介してもらう求人票と面接で確かめること
基本給と固定残業代の金額
月給のうち、基本給がいくらで、固定残業代がいくらかを聞きます。
実際の残業の平均
部署の平均の残業時間と、忙しい時期の残業時間を聞きます。
超えた分の払い方
30時間を超えた分が、どのように計算されて払われるかを聞きます。
時間の記録のしかた
残業の時間を、どのように記録しているか(パソコンの記録、打刻など)を聞きます。
面接で直接聞きにくいことは、弊社エージェントが代わりに確認します
- 部署の実際の残業の平均時間
- 30時間を超えた月に、超えた分が払われているか
- 基本給と固定残業代の内訳
本人が聞くと評価に響かないか心配な項目です。弊社のエージェント経由で応募する場合は、担当者が企業に確かめたうえでお伝えします。
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適職診断をする(無料)入社したあとにやること
入社したら、毎月の給与明細で、固定残業代と超えた分の残業代を確かめます。
| 確かめること | どこで見るか |
|---|---|
| 基本給と固定残業代の金額 | 労働条件通知書・給与明細 |
| その月の残業時間 | 勤怠の記録・給与明細 |
| 30時間を超えた分の残業代 | 給与明細 |
責任者
超えた分が払われないときの相談先
30時間を超えた分の残業代が払われないときは、公的な窓口に無料で相談できます。
| 窓口 | 相談できること |
|---|---|
| 総合労働相談コーナー(各都道府県の労働局・労働基準監督署の中) | 残業代・職場のトラブル全般 |
| 労働基準監督署 | 法律に反しているおそれがあるときの相談・申告 |
| 労働条件相談ほっとライン(厚生労働省の委託事業) | 平日の夜や土日にも電話で相談できる |
相談するときは、給与明細と、自分でつけた残業時間のメモを持っていくと話が早く進みます。法律の判断が必要なことは、この記事では答えられません。
無料・メールで届きます入社前チェックシート(18項目)求人票8項目・面接6項目・内定後4項目。応募の前に、1枚で確認できます。 メールで受け取るまとめ:30時間は「平均の残業」と「計算」を確かめる
固定残業30時間の求人で見ること
- 基本給と固定残業代の金額と時間が書いてあるか
- 超えた分を払うと書いてあるか
- 自分で計算して、30時間分に足りているか
- 部署の実際の平均の残業時間
- 事務の求人なら、平均(月11〜13時間)と比べて多すぎないか
固定残業30時間は、正しく計算されていて、実際の残業が30時間より少ないなら、残業が少ない月も満額もらえる、得なしくみにもなります。反対に、中身を教えてもらえない、毎月30時間を超えるなら、見送りを考えてください。もっと少ない時間の求人の読み方は「固定残業20時間」の求人はやめとけ?でまとめています。
相談無料・LINEでやり取り求人票の見方に迷ったら、聞いてみませんか気になる求人の条件を、こちらで調べたうえでご案内します。 LINEで無料相談するよくある質問
固定残業30時間は多いですか?
毎月続けると年360時間で、法律の残業の原則の上限と同じ数字です。20代後半の平均の残業は、どの職種でも月30時間より少なく、事務の職種では月11〜13時間でした(厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査)。
固定残業30時間は違法ですか?
違法ではありません。ただし、基本給と固定残業代の金額・時間が区別でき、30時間を超えた分がきちんと払われていることが前提です。
残業が30時間より少ない月は、固定残業代が減りますか?
減りません。固定残業代は、実際の残業が少なくても満額払われるしくみです。
30時間を超えた分は払われますか?
払われなければいけません。求人票に「超過分は別途支給」と書いてあるか、面接でも確かめてください。
固定残業代が正しいか、どうやって確かめますか?
基本給を1か月の平均の所定労働時間で割り、1.25をかけて30をかけます。その金額が固定残業代より多ければ、30時間分に足りていません。
固定残業代があるとボーナスは減りますか?
ボーナスが基本給をもとに決まる会社では、基本給が低いぶん少なくなることがあります。基本給の額を確かめてください。
求人票に固定残業代の金額が書いていません。
厚生労働省は、基本給・固定残業代の時間と金額・超えた分を払うことの3つを書くよう決めています。書いていない場合は、面接で必ず聞いてください。
面接で残業のことを聞いても大丈夫ですか?
大丈夫です。「長く働きたいので、働き方を確認させてください」と前置きすると自然に聞けます。
超えた分が払われないときは、どこに相談できますか?
各都道府県の労働局や労働基準監督署の中にある総合労働相談コーナーに、無料で相談できます。
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