【裁判例】試用期間中の解雇が争われたケース|「お試しだから」は通らない理由と、次の転職で防ぐ方法
入社して2か月。「試用期間中だから、うちには合わないと判断した。今月で終わりにしてほしい」。そう言われて、納得できないまま会社を去る人がいます。試用期間は「お試し」と思われがちですが、裁判所は、試用期間中の解雇にも、きちんとした理由が必要だと判断しています。この記事では、最高裁判所の判決などをもとに、試用期間中の解雇がどこまで認められるかを整理し、次の転職で同じ失敗をしないための見分け方と、内定を勝ち取るための準備をまとめました。
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よくある流れ:入社して数か月で「本採用しない」と言われた
試用期間中の解雇の失敗は、次のような流れで起きることが多くあります(公的な判決をもとにした、よくある流れです)。
試用期間は、会社が働きぶりや向き不向きを見る期間です。ただ、法律では、試用期間中でも、すでに雇用の契約は始まっていると考えられています。そのため、会社が自由に辞めさせられるわけではありません。試用期間の求人の読み方は「試用期間」の記事にまとめています。
責任者
裁判所の判断1:試用期間は「解約できる権利つき」の契約
入社のときに経歴の一部を書かなかったことを理由に、試用期間のあとに本採用を断られた人が争った事件です。最高裁判所の大法廷が、試用期間の考え方を示しました。
| 争点 | 裁判所の判断 |
|---|---|
| 試用期間中の契約はどんなものか | 雇用の契約はすでに成立していて、会社に「解約できる権利」が付いているもの |
| 会社はどこまで解約できるか | ふつうの解雇より広く認められるが、客観的に合理的な理由があり、社会の常識から見て相当といえる場合に限られる |
| どんな理由なら認められるか | 採用を決めた時点では知ることができなかった事実が、試用期間中にわかった場合など |
| 結果 | この基準にそって判断し直すよう、審理のやり直しを命じた |
この判決は、いまも試用期間を考えるときの基本になっています。「お試しだから自由に切れる」は通らないということです。
出典:最高裁判所 昭和48年12月12日 大法廷判決(裁判所ウェブサイト「裁判例検索」)。
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求人を紹介してもらう裁判所の判断2:期間の途中の解雇が無効とされた例
試用期間を6か月と決めていたのに、3か月ほどで「成績が悪い」として解雇された人が争った事件です。
| 争点 | 裁判所の判断 |
|---|---|
| 成績が悪いことは理由になるか | 成績が高いとはいえないが、それだけで向いていないとは決められない |
| 成績を左右した事情 | 世界的な株価の下落など、本人の力ではどうにもならない事情があった |
| 判断の時期 | 6か月の試用期間の途中、3か月ほどで向いていないと決めるのは、あまりに早すぎる |
| 結果 | 解雇は無効と判断した(高等裁判所も同じ判断) |
決めた期間を待たずに、短い期間の成績だけで判断することは、認められにくいことを示した判決です。ほかにも、最高裁判所は、1年の有期契約でも、働きぶりを見るための期間なら試用期間と考えると判断しています。
出典:東京地方裁判所 平成21年1月30日判決、東京高等裁判所 平成21年9月15日判決、最高裁判所 平成2年6月5日 第三小法廷判決(裁判所ウェブサイト「裁判例検索」)。
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法律の決まり:解雇の予告と「14日」
試用期間中の解雇にも、労働基準法の解雇の予告の決まりがあります。
| 決まり | 内容 |
|---|---|
| 解雇の予告(第20条) | 解雇するときは、少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を払う |
| 試用期間中の例外(第21条) | 試用期間中で、入社して14日以内なら、予告はいらない。14日をこえたら必要 |
| 解雇の理由(労働契約法第16条) | 客観的に合理的な理由がなく、社会の常識から見て相当でない解雇は無効 |
| 解雇の理由の証明(第22条) | 求めれば、会社は解雇の理由を書いた書面を出さなければならない |
出典:労働基準法第20条・第21条・第22条、労働契約法第16条。
いま同じ状況なら:確かめることと相談先
試用期間中に「本採用しない」と言われて納得できないときは、まず次のものをそろえましょう。
そろえておくもの
- 労働条件通知書・雇用契約書(試用期間の長さと、本採用の条件)
- 解雇の理由を書いた書面(会社に求めれば出す決まり)
- 受けた指導の記録(いつ、誰に、何を言われたか)
- 働いた時間の記録と、給料の明細
解雇の理由がわからないまま退職届を書くと、自分から辞めた扱いになることがあります。納得できないときは、すぐにサインせず、相談しましょう。
| 窓口 | 相談できること |
|---|---|
| 総合労働相談コーナー(労働局・労働基準監督署の中) | 解雇など職場のトラブルを無料で相談。会社との話し合いの手助け(あっせん)も |
| 労働基準監督署 | 解雇予告手当が払われないなど、法律に反しているおそれがあるとき |
| 法テラス | 弁護士への相談の窓口の案内 |
この記事は判決や決まりの考え方を紹介するもので、個別のケースの判断はできません。
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求人を紹介してもらう次の転職で内定を勝ち取るために
同じ失敗をくり返さないためには、試用期間の条件を読む目と、短い在籍を前向きに伝える準備の両方が必要です。
求人票で必ず見ること
| 見るところ | 安心できる書き方 | 注意したい書き方 |
|---|---|---|
| 試用期間の長さ | 「試用期間3か月(条件の変更なし)」 | 期間が書いていない、または1年など長い |
| 本採用の条件 | 「研修のあと、面談で本採用を決定」 | 「本採用は成績による」とだけ書いてある |
| 研修と指導 | 「最初の1か月は先輩がつきます」 | 「入社後すぐに現場へ」 |
職務経歴書の書き方(ビフォー・アフター)
| 書き方 | |
|---|---|
| ビフォー | 試用期間中に会社都合により退職。 |
| アフター | 法人営業として入社し、2か月で40社に電話で提案しました。商品の説明資料を自分でまとめ直し、先輩の同行なしで商談の場を持てるようになりました。 |
短い期間でも、やったことと、身につけたことを数字で書けます。退職の事情は、面接で聞かれたときに短く話せば十分です。
面接での答え方(短い在籍の理由)
前の会社を責めるのではなく、振り返りと、次にどうするかを話すと、前向きに伝わります。
出す前・話す前のチェックリスト
- 求人票で、試用期間の長さと本採用の条件を確かめた
- 入社後の研修と、誰に教わるかを確かめた
- 職務経歴書に、短い期間でもやったことを数字で書いた
- 短い在籍の理由を、1分ほどで前向きに話せる
- 面接で聞きたいこと(試用期間中の評価のしかた)を用意した
まとめ:試用期間でも、解雇には理由がいる
試用期間は、会社が働きぶりを見るための期間です。ただ、最高裁判所の判決は、試用期間中でも雇用の契約は始まっていて、解約するには客観的に合理的な理由が必要だと示しています。
この記事のポイント
- 試用期間中の契約は「解約できる権利つき」の雇用契約
- 解約はふつうの解雇より広く認められるが、理由は必要
- 短い期間の成績だけで判断する解雇は、認められにくい
- 入社して14日をこえたら、試用期間中でも解雇の予告が必要
- 次の求人では、試用期間の長さと本採用の条件を必ず確かめる
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試用期間中なら、会社は自由に解雇できますか?
できません。最高裁判所は、試用期間中でも雇用の契約は成立していて、解約するには客観的に合理的な理由と、社会の常識から見た相当さが必要だと判断しています。
試用期間中の解雇は、ふつうの解雇と何がちがいますか?
ふつうの解雇より広く認められるとされています。ただ、理由が必要なことは変わりません。
試用期間中に解雇されたら、予告はありますか?
入社して14日をこえていれば、30日前の予告か、30日分以上の解雇予告手当が必要です。14日以内なら予告はいりません。
入社2か月で「向いていない」と言われました。
短い期間の成績だけで判断した解雇が無効とされた裁判例もあります。指導の記録などをそろえて、公的な窓口に相談できます。
解雇の理由を教えてもらえますか?
求めれば、会社は解雇の理由を書いた書面を出さなければならない決まりです。
退職届を書くよう言われました。
退職届を出すと、自分から辞めた扱いになることがあります。納得できないときは、すぐにサインせず相談しましょう。
どこに相談すればいいですか?
総合労働相談コーナー(労働局・労働基準監督署の中)に無料で相談できます。弁護士への相談は、法テラスで窓口を案内してもらえます。
試用期間で辞めた経歴は、転職で不利になりますか?
短い期間でも、やったことと振り返りを前向きに伝えれば、評価されることがあります。退職の事情は短く話しましょう。
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