「有給取得率」が低い会社はやめとけ? 求人票の数字の読み方と見送る線
「有給取得率80%」「有給が取りやすい職場です」。求人票や会社のページで目にする言葉です。数字が高ければ休みやすい会社に見えますが、取得率は「何日もらって、何日使ったか」の割合なので、もらえる日数が少なければ高く出ますし、会社が夏休みを有給に置きかえていても高くなります。反対に、数字が書かれていない会社も少なくありません。ここでは、有給休暇の法律の決まりと全国のデータを整理し、計算の例で数字のからくりを見たうえで、求人票と面接で確かめることと「この条件なら見送る」線を示します。
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「有給取得率」とは
有給取得率は、1年にもらった有給休暇の日数のうち、実際に使った日数の割合です。国の調査では「取得した日数の合計 ÷ 付与された日数の合計 × 100」で計算し、前の年から繰り越した日数は入れていません。
ただ、会社が求人票やホームページに書く取得率は、計算のしかたが決まっていません。同じ「取得率70%」でも、中身はばらばらです。
求人でよく見る書き方
| 書き方 | 読み方 |
|---|---|
| 有給取得率 75%(2025年度実績) | 年度がはっきりしている。誰の数字かを聞く |
| 有給休暇 平均取得日数 12.5日 | 日数で書かれていて比べやすい |
| 有給休暇 入社6か月後に10日 | 法律どおりの付与日数。取りやすさはわからない |
| 有給が取りやすい職場です | 数字がない。実績を聞く |
責任者
法律の決まり:有給休暇は働く人の権利
有給休暇は、会社が「あげる」ものではなく、条件を満たした人に法律で必ず与えられる休みです。正社員だけでなく、パートやアルバイトにも、働く日数に応じて与えられます。
| 勤めた期間(週5日勤務の場合) | 1年にもらえる日数 |
|---|---|
| 6か月 | 10日 |
| 1年6か月 | 11日 |
| 2年6か月 | 12日 |
| 3年6か月 | 14日 |
| 4年6か月 | 16日 |
| 5年6か月 | 18日 |
| 6年6か月以上 | 20日 |
| 決まり | 内容 |
|---|---|
| もらえる条件(労働基準法第39条) | 入社から6か月続けて働き、出勤すべき日の8割以上出勤したこと |
| 年5日の取得(2019年4月から) | 年10日以上もらう人には、会社が1年に5日は必ず取らせる義務がある |
| 休む日を変えてもらう権利 | 会社は、事業の正常な運営をさまたげる場合にだけ、別の日にしてほしいと言える |
| 時効 | 使わなかった日は、もらった日から2年で消える |
| 不利益な扱い | 有給を使ったことを理由に、給料を下げるなどの扱いをしてはいけない |
出典:労働基準法第39条・附則第136条、厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」、厚生労働省「確かめよう労働条件」年次有給休暇。
全国のデータ:取得率は7割に届かない
国の調査では、2024年の1年間に、働く人1人あたり18.1日の有給休暇が与えられ、12.1日を使いました。取得率は66.9%で、昭和59年以降でもっとも高い数字です。
業種によっても差があります。1年前の調査では、建設業60.7%、卸売業・小売業60.6%、情報通信業67.1%でした。
| 業種(令和6年調査) | 取得率 |
|---|---|
| 全体 | 65.3% |
| 情報通信業 | 67.1% |
| 建設業 | 60.7% |
| 卸売業・小売業 | 60.6% |
出典:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」(労働政策研究・研修機構「ビジネス・レーバー・トレンド」2026年3月号の紹介による)、厚生労働省「令和6年就労条件総合調査」、厚生労働省「確かめよう労働条件」(政府の目標)。対象は常用労働者30人以上の会社。
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計算で見る:同じ70%でも休める日はちがう
取得率は割合なので、もとになる日数で意味が変わります。次の表は、よくある形を計算した例です。
| 会社の形 | もらう日数 | 使った日数 | 取得率 |
|---|---|---|---|
| A:入社1〜2年目が多い | 10日 | 7日 | 70% |
| B:勤続の長い人が多い | 20日 | 14日 | 70% |
| C:繰り越しも分母に入れる | 20日+繰り越し10日 | 14日 | 約47% |
| D:年5日だけ取らせている | 10日 | 5日 | 50% |
計算で見えること
- AとBは同じ70%でも、休める日は2倍ちがう
- 繰り越しを入れるかどうかで、同じ会社でも数字が大きく変わる
- 年10日の人が法律どおり5日だけ取っても、50%になる
20代で入社すると、最初の年は10日です。「取得率」より「平均で何日使っているか」を聞くほうが、自分の休みを想像しやすくなります。
表は計算の例です。付与日数は労働基準法第39条による。
なぜ「やめとけ」と言われるのか
取得率が低い会社では、休みたくても休めない理由が職場にあることが多くあります。一方で、数字が高くても安心とは言い切れません。
| 入ってから聞く声 | 起きていること |
|---|---|
| 有給を出すと、上司にいやな顔をされる | 休む人の仕事を代わる人がいない |
| 年5日だけ、会社が決めた日に休まされる | 法律の最低ラインだけ守っている |
| 取得率は高いのに、自由に休める日が少ない | 夏休みや年末の休みを有給に置きかえている |
| 繁忙期は申請しても通らない | 休む日を変えてもらう権利を広く使いすぎている |
| 辞めるときに、残りの有給を使えなかった | 引き継ぎを理由に、使わせてもらえなかった |
「計画的付与」で数字が上がることも
会社は働く人の代表と協定を結ぶと、5日をこえる部分の有給を、会社が決めた日に割り当てることができます。夏休みや年末の休みをこの形にすると、取得率は上がりますが、自分で好きな日に使える日数は減ります。
休みの日数全体は、「年間休日120日」の記事とあわせて見てください。
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求人を紹介してもらう求人票の実例を読む
有給の書き方を、3つの型に分けて読みます(実在の会社の求人ではなく、よくある書き方の例です)。
| 求人票の書き方 | 読み方 | 面接で聞くこと |
|---|---|---|
| 有給取得率90%以上! | 年度も計算のしかたもない。夏休みを有給にしている可能性も | 平均で何日使っているか、夏休みは有給か |
| 年間休日120日、有給休暇は入社6か月後10日、平均取得日数11日(2025年度) | 休日と有給が分かれていて、実績もある | 配属される部署の実績 |
| 年間休日105日(有給の計画付与5日を含む) | 会社の休みの一部が有給。自由に使える日はそのぶん減る | 計画付与の日数と、それ以外に使える日数 |
3つ目のように、年間休日の中に有給が入っている書き方は、休みが多く見えるので注意が必要です。年間休日は、本来は会社の休日だけを数えます。
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平均で何日使っているか
割合ではなく日数で聞きます。「去年、社員の方は平均で何日くらい使っていましたか」と聞くと答えてもらいやすくなります。
配属先の部署ではどうか
会社全体の数字と、現場の部署の数字がちがうことはよくあります。
夏休み・年末年始は有給か
会社の休日か、有給の計画付与かで、自由に使える日数が変わります。
新卒・既卒の募集なら、情報を求められる
新卒の募集(卒業して3年以内の人を含む)に応募した人は、会社に前の年度の有給休暇の平均取得日数などの職場の情報を求めることができます。会社は、決められた項目の中から情報を出すことになっています。
聞きにくい休みの実態は、担当のエージェントが会社に確かめます
- 配属先の部署での平均の取得日数
- 夏休みや年末の休みが有給かどうか
- 辞めた人が残りの有給を使えていたか
出典:青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)第13条・第14条、厚生労働省「青少年雇用情報シートの書き方のポイント」。
入社したあとにやること
入社したら、自分がいつ何日もらえるのかを最初に確かめておくと、休みの計画が立てやすくなります。
早めに申請し、仕事を渡しておく
有給は、理由を言わなくても使えます。ただ、職場で気持ちよく休むには、早めに日を伝えて、休む日の仕事を誰に頼むかを決めておくのが近道です。
| 確かめること | どこで見るか |
|---|---|
| 有給の日数と付与日 | 労働条件通知書、勤怠の画面 |
| 計画的付与の有無と日数 | 就業規則、会社カレンダー |
| 半日や時間単位で使えるか | 就業規則 |
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求人を紹介してもらう困ったときの相談先
有給を申請しても認められない、年5日も取らせてもらえない、使ったら給料を減らされた、といったときは、公的な窓口に無料で相談できます。
| 窓口 | 相談できること |
|---|---|
| 総合労働相談コーナー(各都道府県の労働局・労働基準監督署の中) | 有給や休みのトラブル全般 |
| 労働基準監督署 | 有給が与えられない、年5日を取らせていないなど |
| 労働条件相談ほっとライン(厚生労働省の委託事業) | 夜や土日も電話で相談できる |
相談には、労働条件通知書、有給を申請した記録(メールやチャット)、給与明細を持っていくと話が早く進みます。法律の判断が必要なことは、この記事では答えられません。
無料・メールで届きます入社前チェックシート(18項目)求人票8項目・面接6項目・内定後4項目。応募の前に、1枚で確認できます。 メールで受け取るまとめ:有給は「割合」より「日数」で確かめる
有給の書き方で見ること
- 取得率の年度と、誰の数字か
- 平均で何日使っているか(全国は12.1日)
- 夏休みや年末の休みが有給に置きかえられていないか
- 年間休日の中に有給が入っていないか
- 配属先の部署で休めているか
有給取得率は、年度と計算のしかたがはっきりしていて、日数でも答えてもらえる会社なら、休みやすさの目安になります。数字の高さだけで決めず、自分が1年目に何日休めそうかを、応募の前に確かめましょう。休みの書き方は「土日休み」の記事でも取り上げています。
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有給取得率はどうやって計算しますか?
国の調査では、取得した日数の合計を、その年に与えられた日数の合計で割って計算します。会社が出す数字は計算のしかたが決まっていないので、何で割ったかを確かめましょう。
全国の有給取得率はどのくらいですか?
2024年の1年間で66.9%でした。1人あたり18.1日与えられ、12.1日使っています(令和7年就労条件総合調査)。
入社してすぐに有給は使えますか?
法律では、入社から6か月続けて働き、8割以上出勤すると10日もらえます。会社によっては、入社日から与える場合もあります。
年5日の有給は、会社が決めた日に休まされるのですか?
年10日以上もらう人が自分で5日使っていない場合、会社が本人の意見を聞いたうえで日を決めて取らせます。自分で5日以上使っていれば、会社が決める必要はありません。
取得率が高ければ、休みやすい会社ですか?
そうとは限りません。夏休みなどを有給に置きかえていると取得率は上がりますが、自由に使える日は減ります。平均の取得日数と、会社の休日の数で確かめましょう。
面接で有給のことを聞くと、印象が悪くなりますか?
聞き方しだいです。「長く働くために、休みの取り方も知っておきたい」と前置きして、平均の取得日数を聞くと自然です。直接聞きにくいときは、エージェントに確かめてもらう方法もあります。
有給を使わなかった分はどうなりますか?
もらった日から2年で消えます。翌年に繰り越せるのは1年分までと考えておきましょう。
有給を使う理由は言わないといけませんか?
法律では、理由を伝える必要はありません。会社は、事業の正常な運営をさまたげる場合にだけ、別の日にしてほしいと言えます。
パートやアルバイトでも有給はもらえますか?
もらえます。週に働く日数や時間に応じて、日数が決まります。
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