「残業ほぼなし」の求人はやめとけ? 求人票の読み方と見送る線
「残業ほぼなし」「定時で帰れます」。前の職場で毎晩遅くまで働いていた人ほど、目にとまる言葉です。ところが入ってみると、「繁忙期は毎日2時間」「始業前の準備は数えない」ということもあります。この記事では、「ほぼなし」という言葉の決まり、残業の上限と求人に書くべきこと、月平均の数字の読み方を整理し、求人票と面接で確かめることと「この条件なら見送る」線をまとめました。
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「残業ほぼなし」とは
「残業ほぼなし」には、法律や業界で決まった基準はありません。会社が「残業は少ない」と伝えたいときに使う、自由な言い方です。月に1〜2時間の会社も、月10時間ほどの会社も、同じ言葉を使うことがあります。
求人でよく見る言い方
| 言い方 | 読み方 |
|---|---|
| 残業ほぼなし | 少ないという意味だが、時間は書いていない |
| 残業月平均10時間以下 | 数字がある。全社の平均か、配属先の平均かを確かめる |
| 原則定時退社 | 決まりとして定時を目指す。例外の日を確かめる |
| 残業代全額支給 | 働いた分が払われる。残業の量は別に確かめる |
大事なのは、言葉より「何時間か」「誰の平均か」です。
責任者
法律の決まり:残業の上限と、求人に書くこと
残業(法律でいう時間外労働)には上限があります。また、求人を出すときには、残業があるかどうかを示すことが決まっています。
| 決まり | 内容 |
|---|---|
| 残業の上限(労働基準法第36条) | 労使の協定(36協定)を結んだうえで、原則月45時間・年360時間まで |
| 特別な事情があるとき | 月100時間未満、2〜6か月の平均80時間以内などの枠がある |
| 求人で示すこと(職業安定法) | 働く時間、休み、決まった時間を超えて働くことがあるかなどを示す |
| 正しい表示(職業安定法) | うその表示や、誤解を生む表示をしてはいけない(2022年10月から) |
| 若い人の募集(若者雇用促進法) | 新卒などの募集で求められたら、前の年度の月平均の所定外労働時間などを示す |
「ほぼなし」と書いてあっても、36協定を結んでいる会社なら、残業を命じられることはあります。求人票の「時間外労働あり/なし」の欄も一緒に見ましょう。
出典:労働基準法第36条第4項・第6項、職業安定法第5条の3・第5条の4、厚生労働省「青少年雇用情報の提供について」(若者雇用促進法)。
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求人を紹介してもらう全国のデータ:決まった働く時間と休み
残業の少なさは、もともとの働く時間と休みと合わせて見ると、暮らしの姿がわかります。国の調査では、1日の決まった働く時間は平均7時間47分でした。
| 条件 | 全国の数字 |
|---|---|
| 1日の所定労働時間 | 平均7時間47分 |
| 完全週休2日制の会社 | 56.7% |
| 年次有給休暇の取得率 | 65.3%(付与16.9日・取得11.0日) |
「残業ほぼなし」でも、休みが年105日なら、働く日は年260日になります。残業と休みはセットで比べましょう。
出典:厚生労働省「令和6年就労条件総合調査」(令和5年の状況)。
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計算で見る:「月10時間」は1日何分か
月の残業時間を、出勤日で割ると、1日の感覚がつかめます(月20日出勤とした計算の例です)。
| 月の残業 | 1日あたり | 9時始業・18時定時なら |
|---|---|---|
| 5時間 | 約15分 | 18時15分ごろ |
| 10時間 | 約30分 | 18時30分ごろ |
| 20時間 | 約1時間 | 19時ごろ |
| 45時間(法律の原則の上限) | 約2時間15分 | 20時15分ごろ |
月10時間なら、毎日30分ほどの残業です。ただ、平均は「繁忙期の多い月」と「ほぼゼロの月」をならした数字のこともあります。
計算で見えること
- 月平均10時間でも、決算の月だけ40時間ということがある
- 「平均」は、いちばん多い月を聞かないとわからない
- 始業前の準備や片づけが数えられているかで、実際の時間は変わる
給料に残業代が先に入っている求人は、「固定残業20時間」の記事も参考になります。
なぜ「やめとけ」と言われるのか
残業が少ない職場は、20代が暮らしと仕事を両立しやすい環境です。ただ、「ほぼなし」という言葉だけで選ぶと、次のようなずれが起きることがあります。
| 入ってから聞く声 | 起きていること |
|---|---|
| 月末だけ毎日遅い | 平均は少ないが、時期で大きく増える |
| 本社は早いが、配属先は遅い | 全社の平均を書いていて、部署ごとの差がある |
| 始業30分前に来るのが当たり前 | 準備や朝礼の時間が、残業として数えられていない |
| 持ち帰りの仕事がある | 職場では早く帰れるが、家で仕事をしている |
| 給料が思ったより少ない | 残業代がない分、基本給だけでは生活がきつい |
とくに3つ目と4つ目は、数字に出てこない残業です。会社の指示で準備をしているなら、その時間は働いた時間に当たることがあります。
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求人を紹介してもらう求人票の実例を読む
「残業ほぼなし」が出てくる求人の書き方を、3つの型に分けて読みます(実在の会社の求人ではなく、よくある書き方の例です)。
| 求人票の書き方 | 読み方 | 面接で聞くこと |
|---|---|---|
| 残業ほぼなし! 18時には帰れます | 時間の数字がない | 月平均の残業時間と、いちばん多い月 |
| 残業月平均8時間(前年度・全社)、繁忙期の3月は月20時間ほど | 平均と多い月の両方が書いてある | 配属先の部署の数字 |
| 残業ほぼなし(固定残業代30時間分を含む) | 「ほぼなし」なのに30時間分の残業代が入っている | なぜ30時間分を設定しているか |
3つ目のように、「ほぼなし」と固定残業代の時間数が合っていない求人は、どちらが本当かを確かめる必要があります。
未経験歓迎希望に合う求人を、ご紹介します希望の職種と連絡先を入れるだけ。営業・事務・IT・施工管理などから、担当者がお探しします。 求人を紹介してもらう求人票と面接で確かめること
月平均と、いちばん多い月
前の年度の月平均の残業時間と、いちばん多かった月の時間をセットで聞きます。
配属先の数字か
全社の平均ではなく、入る部署の数字を聞きます。
働いた時間の数え方
パソコンの記録や打刻で数えているか、始業前の準備は含むかを確かめます。
公的なサイトで調べる
厚生労働省の「職場情報総合サイト(しょくばらぼ)」では、会社が出している残業や休みの情報を見られることがあります。
聞きにくい数字は、担当のエージェントが会社に確かめます
- 配属予定の部署の、月平均の残業時間
- いちばん忙しい時期の帰る時間
- 働いた時間の記録のしかた
入社したあとにやること
入ってからも、自分の働いた時間を自分で残しておくと、話が違うときに確かめやすくなります。
| 確かめること | どこで見るか |
|---|---|
| 働く時間と休みの決まり | 労働条件通知書、就業規則 |
| 残業の上限 | 36協定(職場で見られるようにする決まり) |
| 払われた残業代 | 給料の明細 |
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求人を紹介してもらう困ったときの相談先
聞いていた話より残業がずっと多い、残業代が払われない、準備の時間が数えられていない、といったときは、公的な窓口に無料で相談できます。
| 窓口 | 相談できること |
|---|---|
| 総合労働相談コーナー(各都道府県の労働局・労働基準監督署の中) | 働く時間や職場のトラブル全般 |
| 労働基準監督署 | 残業代が払われないなど、法律に反しているおそれがあるとき |
| ハローワーク | 求人票の内容と実際が大きく違うとき |
| 労働条件相談ほっとライン(厚生労働省の委託事業) | 夜や土日も電話で相談できる |
相談には、求人票、労働条件通知書、自分の勤務時間のメモ、給料の明細を持っていくと話が早く進みます。法律の判断が必要なことは、この記事では答えられません。
無料・メールで届きます入社前チェックシート(18項目)求人票8項目・面接6項目・内定後4項目。応募の前に、1枚で確認できます。 メールで受け取るまとめ:「ほぼなし」は「何時間・誰の・いつ」で読む
「残業ほぼなし」の求人で見ること
- 月平均の残業時間が数字で書いてあるか
- いちばん多い月は何時間か
- 全社の平均か、配属先の数字か
- 固定残業代の時間数と合っているか
- 始業前の準備や朝礼が働いた時間に入るか
残業が少ない職場は、数字で説明できる会社ほど信頼できます。言葉の印象で決めず、月平均・多い月・配属先の3つの数字をそろえてから応募しましょう。休みも合わせて見たい人は「年間休日120日」の記事もどうぞ。
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「残業ほぼなし」は、月何時間くらいのことですか?
決まった基準はありません。月数時間の会社もあれば、月10時間ほどの会社もあります。月平均の時間を数字で確かめましょう。
「残業ほぼなし」なのに残業を命じられることはありますか?
36協定を結んでいる会社なら、その範囲で残業を命じられることはあります。求人票の「時間外労働あり/なし」の欄も見てください。
残業の上限は何時間ですか?
原則は月45時間・年360時間です。特別な事情がある場合も、月100時間未満、2〜6か月の平均80時間以内などの枠があります。
月平均10時間とは、1日どのくらいですか?
月20日出勤なら、1日30分ほどです。ただ平均なので、多い月の時間もあわせて聞きましょう。
始業前の準備は残業になりますか?
会社の指示で行う準備や朝礼は、働いた時間に当たることがあります。どう数えているかを確かめ、気になるときは相談窓口に聞いてみてください。
「残業ほぼなし」で固定残業代がある求人は大丈夫ですか?
時間数が大きいのに「ほぼなし」と書いている場合は、どちらが実際に近いかを面接で確かめましょう。
会社の残業時間を、応募前に調べる方法はありますか?
厚生労働省の「職場情報総合サイト(しょくばらぼ)」で、会社が出している情報を見られることがあります。新卒などの募集では、求めれば月平均の所定外労働時間を示す決まりもあります。
面接で残業のことを聞くと、印象が悪くなりませんか?
「長く続けたいので、働き方を知っておきたい」と前向きな理由を添えると、伝わりやすくなります。
聞いていたより残業が多いときは、どこに相談できますか?
総合労働相談コーナー(労働局・労働基準監督署の中)に無料で相談できます。求人票と違う場合はハローワークにも相談できます。
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