人事の1年目はきつい? 月ごとの仕事の山と、入社前に確かめること
人事の1年目は、思っていたより「手続きの仕事」が多いと感じる人が少なくありません。しかも手続きには、法律や制度で決まった期限があります。1年目のきつさの多くは、年に1回しか来ない山を、初めて経験することから生まれます。月ごとの仕事の山と、つまずきやすい場面、入社前に面接で確かめておくことを、公的な情報で確かめながら整理しました。
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人事の1年目は、どんな仕事から始まるか
人事の1年目は、採用の計画や制度づくりより先に、期限のある手続きと、社員からの問い合わせから始まることが多くあります。任される範囲は会社によって大きく違います。
人事の仕事全体の分け方は「人事はやめとけ?」の記事で取り上げています。ここでは、入社して最初の1年に何が起きるかに絞ります。
責任者
4月と12月の1日を比べる(例)
同じ1年目でも、季節によって1日の中身が変わります。労務の事務を受け持つ人の、4月と12月の1日を並べました(よくある例で、実在の会社ではありません)。
| 時間 | 4月(入社の時期) | 12月(年末調整の時期) |
|---|---|---|
| 9:00 | 新しく入った人の書類がそろっているか確認 | 社員から集めた年末調整の申告書を確認 |
| 10:30 | 保険の資格取得届を入力し、上司に見てもらう | 書きもれ・添付もれがある人に連絡 |
| 13:00 | 新入社員の研修の受付と案内 | 控除の証明書と申告書の数字を照らし合わせる |
| 15:00 | 通勤経路や振込口座の届けについての質問に答える | 「この書類は必要ですか」という質問に答える |
| 17:00 | 翌日に入社する人の準備 | 計算の結果を先輩と読み合わせる |
4月は人が増えるときの手続き、12月は全員分の書類の確認が中心です。どちらの月も、自分の作業が質問で何度も止まります。
手を止めるたびに、どこまで進めたかをメモに残しておくと、戻ったときの見落としが減ります。
1か月・3か月・半年・1年で起きること
1年目は「覚える → 手伝う → 任される」の順に進むのが一般的です。早さは会社や入社した月によって変わります。
| 時期 | 任されやすいこと | つまずきやすいこと |
|---|---|---|
| 1か月 | 勤怠の確認、書類の整理 | 「標準報酬」「扶養」などの言葉が分からない |
| 3か月 | 入社・退社の書類づくり、質問の最初の受け答え | 自分で答えてよいことと、上司に回すことの区別 |
| 半年 | 毎月の締めの一部、届出の下書き | 慣れてきたころの確認もれ |
| 1年 | 年末調整など、年1回の作業の補助 | 1回目なので、手順を覚えきれない |
年1回の手続きは、1年目には一度しか経験できません。手順を自分の言葉でメモに残しておくと、2年目の負担が大きく変わります。
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1年目の年間カレンダー:手続きの山
人事・労務の手続きには、法律や制度で時期が決まっているものがあります。1年目の人が手伝うことの多いものを、時期ごとにまとめました。
| 時期 | 手続き | 期限・中身 |
|---|---|---|
| 入社のたび | 健康保険・厚生年金の資格取得届 | 入社などの日から5日以内 |
| 5〜6月 | 住民税の特別徴収の切り替え | 5月中に市区町村から通知が届き、6月から翌年5月まで給与から差し引く |
| 6〜7月 | 労働保険の年度更新 | 6月1日〜7月10日 |
| 7月 | 算定基礎届(4〜6月の給与から保険料の基準を決める) | 7月10日まで。決まった基準は9月から翌年8月まで使う |
| 賞与の月 | 賞与支払届 | 支給日から5日以内 |
| 11〜12月 | 年末調整(扶養控除等申告書などを集め、1年の税額を確かめる) | 多くは12月。申告書は年末調整を行う日までに出してもらう |
| 1月 | 源泉徴収票の交付、給与支払報告書の提出 | 翌年1月31日まで |
| 毎月 | 給与から差し引いた所得税・住民税の納付 | 原則、翌月10日まで |
期限が土日にあたる年は、翌日以降にずれるものがあります。
出典:日本年金機構「就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き」「定時決定(算定基礎届)」「従業員に賞与を支給したときの手続き」、厚生労働省「労働保険料の申告・納付」、香川県「個人住民税特別徴収Q&A」、相模原市「個人住民税における特別徴収について」、国税庁 タックスアンサー No.2505・No.2665・No.7411。
この表は、どの会社にもある山です
- これに加えて、新卒の入社、評価の時期、賞与の計算など、会社ごとの山が重なります
- 給与を受ける人が常時10人未満で承認を受けた会社は、所得税を7月10日と翌年1月20日の半年ごとにまとめて納める特例があります
きつい場面1:期限のある手続きが重なる
6〜7月は、住民税の切り替え・年度更新・算定基礎届が近い時期に重なります。1年目の人は期限から逆算した段取りをまだ組めないため、指示を待つうちに期限が迫り、焦りやすくなります。
| よくあるつまずき | 対処 |
|---|---|
| 期限を「月末まで」と思い込む | 届出ごとの期限を一覧にして、見える場所に置く |
| 社員の書類を待つうちに期限が近づく | 社員に頼むときは、締め切りを期限の数日前に置く |
| 入力の誤りに気づくのが遅れる | 提出の前日ではなく、2〜3日前に先輩に見てもらう |
届出の中身に迷ったら、自分だけで判断しません。上司に確かめ、それでも分からなければ年金事務所や労働局などの窓口に問い合わせます。
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求人を紹介してもらうきつい場面2:社員からの問い合わせ
人事には「家族を扶養に入れたい」「住所が変わった」「給料が先月と違う」といった質問が毎日のように届きます。1年目は答えを知らないまま聞かれることが多く、ここで疲れる人がいます。
| 問い合わせの例 | 1年目の受け方 |
|---|---|
| 手取りが先月と違う | 住民税(6月)や保険料の基準(9月から)など、差し引く額が変わる時期かを確かめ、先輩と一緒に答える |
| 家族を扶養に入れたい | 必要な書類を案内し、判断は担当者に回す |
| 有給があと何日あるか | 勤怠の記録で確かめてから答える |
その場で答えを出せなくても、いつまでに返事をするかを伝えれば十分です。
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適職診断をする(無料)きつい場面3:個人情報の重さ
人事には、給与・家族・健康・評価の情報が集まります。1年目に扱う書類にも、こうした情報が載っています。知ったことを誰にも話せないのは、思った以上に気持ちの負担になります。
| 情報 | 載っている書類の例 |
|---|---|
| 家族 | 扶養控除等申告書、扶養の届け |
| 給与 | 給与明細、賞与の計算表 |
| 健康 | 健康診断の結果、休職の書類 |
| 評価 | 評価のシート、異動の資料 |
1年目から守りたいこと
- 書類を机に出したまま席を離れない
- 個人の情報を送るメールは、宛先を2回見る
- 同期や友人にも、社員の事情を話さない
- 迷ったら「誰が見てよい情報か」を上司に聞く
きつい場面4:会社と社員の板挟み
人事は、会社が決めたことを社員に伝える役になります。1年目は決める立場ではないのに、説明の窓口として不満を受けることがあります。
| 場面 | 起きやすいこと | 対処 |
|---|---|---|
| 手続きの変更を伝える | 「なぜ変わるのか」と聞かれる | 理由を先に上司に確かめてから伝える |
| 申請を差し戻す | 面倒がられる | どこを直せばよいかを具体的に書いて返す |
| 休みや残業の相談を受ける | 自分では決められない | 内容を記録し、担当者に引き継ぐ |
「自分が責められている」と受け止めず、役割として話を聞いていると考えると、少し気持ちが軽くなります。
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求人を紹介してもらう自分の休み:有給は入社半年で10日
人事は社員の有給を管理する側ですが、自分自身は1年目に有給が少ない時期があります。法律では、入社から6か月続けて働き、8割以上出勤すると10日の有給がつきます。
| 時点 | 有給の状況 |
|---|---|
| 入社〜6か月 | 法律上はまだつかない(入社日につける会社もある) |
| 6か月 | 10日(8割以上出勤した場合) |
| その後の1年 | 10日以上ついた人には、会社が5日分の時季を決めて取らせる |
全国では、1人あたり年16.9日が付与され、取れたのは平均11.0日(取得率65.3%)でした。繁忙期に人事の人が休めるかは、会社によって差があります。
出典:労働基準法第39条第1項・第7項(e-Gov法令検索)、厚生労働省「令和6年就労条件総合調査」(令和5年1年間の状況)。
有給の取りやすさの見方は「有給取得率」の記事へ。
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適職診断をする(無料)入社前に面接で確かめること
1年目のきつさは、教わる体制と、入社してすぐ出会う山で大きく変わります。面接で次のことを聞くと、入ってからのずれが減ります。
| 確かめること | 聞き方の例 |
|---|---|
| 最初に教わる人 | 「入社してしばらくは、どなたに教わることになりますか」 |
| 入社の時期に重なる仕事 | 「私が入社する時期は、どの手続きが多い時期でしょうか」 |
| 手順をまとめた資料 | 「年に1回の手続きは、手順の資料がありますか」 |
| 問い合わせの受け方 | 「社員からの質問は、最初はどこまで担当しますか」 |
| 繁忙期の残業と休み | 「6〜7月や12月は、残業や休みの取り方はどう変わりますか」 |
新卒で就職した人の3年以内の離職率は、大学卒で31.2%、高校卒で36.9%でした。入ってから「思っていたのと違う」と感じる人は少なくありません。
出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和5年3月卒業者)」(令和8年10月23日公表)。
責任者
この答えなら見送る線
聞いたことへの答え方に、職場の様子が出ます。次の答えが返ってきたら、ほかの会社と比べてから決めるのがおすすめです。
面接で聞きにくいことは、エージェントが代わりに確認します
- 前の担当者が辞めた理由
- 人事の人が、繁忙期にも有給を取れているか
弊社のエージェント経由で応募する場合は、担当者が企業に確かめたうえでお伝えします。応募の準備は「20代・未経験で人事はやめとけ?」の記事へ。
まとめ:1年目のきつさは「初めての山」から来る
人事の1年目がきついと言われるのは、期限のある手続き・問い合わせ・個人情報・板挟みが、慣れないうちに重なるからです。年の山を一度経験すると、見通しは立ちやすくなります。
入社前に確かめること
- 最初に教わる人がいるか
- 入社の時期に、どの手続きが重なるか
- 年1回の手続きの手順が残っているか
- 問い合わせを、最初はどこまで受け持つか
- 繁忙期の残業と、休みの取り方
| 迷ったときの窓口 | 聞けること |
|---|---|
| 年金事務所 | 健康保険・厚生年金の届出 |
| 労働局・労働基準監督署 | 労働保険、労働時間、有給 |
| 税務署 | 所得税の納付、年末調整 |
| 市区町村 | 住民税の特別徴収 |
採用の仕事から入る道は「採用事務はやめとけ?」の記事で取り上げています。
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人事の1年目はどんな仕事をしますか?
会社によりますが、入社・退社の書類、保険の届出の準備、勤怠の確認、社員からの質問の受け答えなど、期限のある手続きから始まることが多くあります。採用担当なら、応募者への連絡と面接の日程調整が中心です。
人事の1年目でいちばん忙しいのはいつですか?
労務の事務を受け持つ場合は、住民税の切り替え・労働保険の年度更新・算定基礎届が重なる6〜7月と、年末調整の11〜12月が山になりやすい時期です。新卒の入社が多い会社では4月も忙しくなります。
算定基礎届とは何ですか?
4〜6月の給与をもとに、健康保険・厚生年金の保険料の基準(標準報酬月額)を決めるための届出です。毎年7月10日までに出し、決まった基準は9月から翌年8月まで使われます(日本年金機構)。
年末調整は1年目でも任されますか?
1年目は、申告書の回収や書きもれの確認など、補助から任されることが多いです。どこまで担当するかは会社によるので、面接で聞いておくと安心です。
社員からの質問にすぐ答えられなくて不安です。
その場で答えを出す必要はありません。「確認して、いつまでにお返事します」と期限を伝え、先輩や上司と確かめてから答えれば十分です。
人事は入社してすぐ有給を取れますか?
法律では、入社から6か月続けて働き、8割以上出勤すると10日の有給がつきます。入社日からつける会社もあるので、就業規則や労働条件通知書で確かめましょう。
ひとり人事の求人に1年目で入っても大丈夫ですか?
未経験の場合、質問できる相手がいないと負担が大きくなりがちです。社会保険労務士など外の専門家に相談できる体制があるかを、面接で確かめてください。
個人情報を扱うのがこわいです。
書類を出したまま席を離れない、メールの宛先を2回見る、社員の事情を外で話さない、といった基本を守ることから始まります。迷ったときは、誰が見てよい情報かを上司に聞きましょう。
人事の1年目で辞めたくなったらどうすればいいですか?
まず、きつさが「初めての山」によるものか、教わる体制がないことによるものかを分けて考えます。後者が続くなら、上司への相談や、ほかの職場を比べることも選択肢です。法律に関わる困りごとは、労働局の総合労働相談コーナーに相談できます。
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