「残業月20時間」の求人はやめとけ? 求人票の読み方と見送る線
「残業は月平均20時間程度」。求人票でよく見る、ちょうど真ん中くらいに聞こえる数字です。ただ、この数字は「平均」であることが多く、繁忙期の月や配属される部署、記録に残らない時間までは表していません。同じ20時間でも、毎月ならす20時間と、ふだん5時間で繁忙期に60時間の20時間とでは、暮らしがまったく変わります。ここでは、法律の上限と全国の平均から20時間の位置を確かめ、帰る時刻と残業代を計算したうえで、求人票と面接で確かめることと「この条件なら見送る」線を示します。
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「残業月20時間」とは
残業(法律では時間外労働)は、決まった働く時間をこえて働いた時間のことです。月20時間は、月20日出勤なら1日あたり1時間ほどにあたります。
求人でよく見る書き方
| 書き方 | 読み方 |
|---|---|
| 残業 月平均20時間 | 平均の数字。多い月の時間は書いていない |
| 残業 月20時間程度(繁忙期 月30時間) | 波の大きさがわかる。繁忙期がいつかを聞く |
| 固定残業代(20時間分)を含む | 20時間分の残業代が先に給料に入っている。超えた分の支払いを確かめる |
| 前年度の月平均所定外労働時間 19.6時間 | 実績の数字。どの部署の数字かを聞く |
責任者
法律の決まり:20時間は、上限の半分より少ない
働く時間は、原則1日8時間・週40時間までです。これをこえて働いてもらうには、会社と働く人の代表が協定(36協定)を結び、届け出る必要があります。その場合でも、上限があります。
| 決まり | 内容 |
|---|---|
| 働く時間(労働基準法第32条) | 1日8時間・週40時間まで |
| 残業の上限(第36条第4項) | 原則 月45時間・年360時間 |
| 特別な事情があるとき(第36条第5項・第6項) | 月45時間をこえられるのは年6か月まで。休日の労働と合わせて月100時間未満、2〜6か月の平均80時間以内 |
| 残業代(第37条) | 25%以上の割増。月60時間をこえた分は50%以上 |
出典:労働基準法第32条・第36条・第37条。
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求人を紹介してもらう全国のデータ:平均と比べると、やや多め
国の統計では、決まった時間をこえて働いた時間(所定外労働時間)は、パートで働く人を含めた全体で月10.0時間、フルタイムで働く一般の人だけでみると月13.4時間でした。
| 比べる相手 | 月20時間との差 |
|---|---|
| 全体の平均(10.0時間) | 約2倍 |
| 一般の労働者の平均(13.4時間) | 約1.5倍。月に7時間ほど多い |
正社員だけで比べると、20時間は平均より少し多めの水準です。ただし、業種や仕事でも大きく変わるため、同じ業種の求人どうしで比べるのがおすすめです。
出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和6年度分結果確報」(事業所規模5人以上)。
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計算で見る:帰る時刻と、残業代
月20時間の残業が、毎日の暮らしと給料にどう出るかを計算します(次の数字は、基本給22万円、月の所定労働時間160時間、月20日出勤の例です)。
| 項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 1日の残業 | 20時間÷20日 | 1時間 |
| 帰る時刻(9時始業・昼休み1時間) | 定時18時+1時間 | 19時ごろ |
| 1時間あたりの賃金 | 22万円÷160時間 | 1,375円 |
| 残業代 | 1,375円×1.25×20時間 | 34,375円 |
同じ20時間でも、波があるとこう変わる
| 毎月ならす | 繁忙期に集まる | |
|---|---|---|
| ふだんの月(9か月) | 20時間 | 10時間 |
| 繁忙期(3か月) | 20時間 | 50時間 |
| 1年の平均 | 20時間 | 20時間(10×9か月+50×3か月)÷12 |
計算で見えること
- 平均が同じ20時間でも、繁忙期は原則の上限の45時間をこえることがある
- 残業代がきちんと出れば、月3万円ほど給料が増える
- 固定残業代の会社では、20時間までは給料が増えない
20時間分の残業代が先に入っている求人は、「固定残業20時間」の記事で読み方を説明しています。
なぜ「やめとけ」と言われるのか
月20時間は、きちんと記録されて残業代が出るなら、無理のない範囲の時間です。ただ、求人票の数字と、入ってからの実感がずれる理由はいくつかあります。
| 入ってから聞く声 | 起きていること |
|---|---|
| 20時間のはずが、毎月40時間 | 会社全体の平均で、配属先の部署の数字ではなかった |
| 年度末は毎日22時 | 繁忙期の時間が、平均にならされて見えない |
| 記録は20時間、実際はもっと | 自己申告で、上限をこえて書きにくい空気がある |
| 朝の準備や持ち帰りの仕事がある | 始業前や家での時間が、残業に入っていない |
| 1年目は覚えることが多く、残業が増える | 新人の時期の時間が、平均より長くなりやすい |
記録と実際の時間がずれたときの考え方は、タイムカードと労働時間が争われた裁判例で取り上げています。
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求人を紹介してもらう求人票の実例を読む
残業時間の書き方を、3つの型に分けて読みます(実在の会社の求人ではなく、よくある書き方の例です)。
| 求人票の書き方 | 読み方 | 面接で聞くこと |
|---|---|---|
| 残業 月20時間程度 | 平均か、どの部署の数字かがわからない | 配属先の部署の、多い月と少ない月の時間 |
| 残業 月平均18.5時間(前年度・全社)、繁忙期(3月)は月35時間程度、残業代は1分単位で支給 | 実績・時期・残業代の出方が書いてある | 繁忙期の帰る時刻のめやす |
| 月給25万円(固定残業代20時間分 3.4万円を含む)、残業 月20時間程度 | 平均の残業が、固定残業の時間とちょうど同じ | 20時間をこえた月の割合と、超えた分の支払い |
3つ目のように、平均の時間と固定残業の時間がそろっている求人は、実際には20時間をこえる月がどのくらいあるかが大切です。
未経験歓迎希望に合う求人を、ご紹介します希望の職種と連絡先を入れるだけ。営業・事務・IT・施工管理などから、担当者がお探しします。 求人を紹介してもらう求人票と面接で確かめること
どの範囲の数字か
会社全体の平均か、配属先の部署の数字かを確かめます。
多い月と少ない月
繁忙期はいつで、何時間くらいになるかを聞きます。
時間の記録と残業代
打刻か自己申告か、残業代は何分単位で出るかを確かめます。
1年目の時間
新人の時期の残業がどのくらいか、研修中はどうかを聞きます。
聞きにくい残業の実態は、担当のエージェントが会社に確かめます
- 配属先の部署の、月ごとの残業時間
- 繁忙期の時期と、帰る時刻のめやす
- 時間の記録のしかたと、残業代の出方
入社したあとにやること
入社したら、自分の残業時間を毎月数えて、給与明細と見比べる習慣をつけておくと、ずれに早く気づけます。
36協定で、職場の上限を知っておく
残業をさせる会社は、36協定を結んで届け出ています。協定には、1か月と1年で何時間まで残業させられるかが書いてあり、会社は働く人がいつでも見られるようにしておく決まりです。法律の上限より短い時間で結んでいる会社もあります。
求人票の「月20時間」と、協定の上限がどのくらい離れているかを見ておくと、忙しい時期にどこまで増えうるかの目安になります。上限に近い月が続くなら、早めに上司に相談しましょう。
| 確かめること | どこで見るか |
|---|---|
| 残業の上限(36協定) | 職場で見られるようにしてある協定 |
| 働いた時間 | 勤怠の記録 |
| 払われた残業代 | 給与明細 |
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求人を紹介してもらう困ったときの相談先
残業代が払われない、記録の時間を減らすよう言われる、上限をこえる残業が続く、といったときは、公的な窓口に無料で相談できます。
| 窓口 | 相談できること |
|---|---|
| 総合労働相談コーナー(各都道府県の労働局・労働基準監督署の中) | 働く時間や残業のトラブル全般 |
| 労働基準監督署 | 残業代が払われない、上限をこえる残業など |
| 労働条件相談ほっとライン(厚生労働省の委託事業) | 夜や土日も電話で相談できる |
| ハローワーク | 求人票の残業時間と実際が大きくちがうとき |
相談には、求人票の写し、労働条件通知書、自分の時刻のメモ、給与明細を持っていくと話が早く進みます。法律の判断が必要なことは、この記事では答えられません。
無料・メールで届きます入社前チェックシート(18項目)求人票8項目・面接6項目・内定後4項目。応募の前に、1枚で確認できます。 メールで受け取るまとめ:月20時間は「平均の中身」を聞く
「残業月20時間」の求人で見ること
- 会社全体の平均か、配属先の部署の数字か
- 繁忙期の時期と時間
- 時間の記録のしかた(打刻か自己申告か)
- 残業代の出方、固定残業代の有無
- 1年目の残業の時間
月20時間は、部署の数字で示され、記録どおりに残業代が出る会社なら、無理のない範囲の働き方です。数字の大きさより、数字の中身を確かめてから応募しましょう。残業の少なさをうたう求人は「残業ほぼなし」の記事もどうぞ。
相談無料・LINEでやり取り求人票の見方に迷ったら、聞いてみませんか気になる求人の条件を、こちらで調べたうえでご案内します。 LINEで無料相談するよくある質問
残業月20時間は多いですか?
フルタイムで働く一般の労働者の平均は月13.4時間でした(毎月勤労統計調査 令和6年度)。それと比べると、やや多めの水準です。業種や仕事でもちがうので、同じ業種の求人どうしで比べましょう。
残業月20時間だと、何時に帰れますか?
月20日出勤なら1日1時間ほどです。9時始業・18時定時の会社なら、19時ごろが目安になります。
残業月20時間の残業代はいくらですか?
基本給22万円、月の所定労働時間160時間の例では、1,375円×1.25×20時間で34,375円です。実際の金額は、基本給と所定労働時間によって変わります。
残業の上限は何時間ですか?
原則は月45時間・年360時間です。特別な事情があっても、休日の労働と合わせて月100時間未満、2〜6か月の平均80時間以内などの上限があります。
求人票の残業時間は、会社全体の平均ですか?
会社全体の平均を書いていることが多くあります。配属される部署の数字と、多い月の時間を面接で聞きましょう。
残業時間の実績を、応募の前に知る方法はありますか?
新卒などの募集では、求めれば前年度の月平均の所定外労働時間を示す決まりがあります。厚生労働省の「しょくばらぼ」で、会社が出している情報を見られることもあります。
固定残業20時間と、残業月20時間は同じですか?
同じではありません。固定残業20時間は、20時間分の残業代が先に給料に入っている形です。実際の残業時間と、超えた分の支払いを別に確かめましょう。
1年目は残業が多くなりますか?
覚えることが多い時期は、残業が増えることがあります。研修中や1年目の残業の時間を、面接で聞いておくと安心です。
残業代が払われないときは、どこに相談できますか?
総合労働相談コーナー(労働局・労働基準監督署の中)に無料で相談できます。自分の時刻のメモと給与明細を持っていきましょう。
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