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やめとけ図鑑2026-10-30 公開 | 約10分で読めます

「裁量労働制」の求人はやめとけ? 求人票の読み方と見送る線

監修 ・ 人材紹介事業 責任者 木下美紀 やめとけ図鑑 「裁量労働制」の求人はやめ とけ? 求人票の読み方と見 送る線 samurai HR | 2026-10-30

「裁量労働制(1日9時間とみなす)」「自分のペースで働けます」。企画やエンジニアの求人で見かける書き方です。自由に働けそうに見える一方で、「何時間働いても給料が同じになるのでは」と心配する声もあります。この記事では、裁量労働制の2つの型と、使ってよい仕事の範囲、2024年4月から変わった本人の同意のルールを整理し、みなし時間と実際の時間のずれを計算で示したうえで、求人票と面接で確かめることと「この条件なら見送る」線をまとめました。

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「裁量労働制」とは

裁量労働制は、仕事の進め方や時間の配分を働く人にまかせ、実際に何時間働いたかではなく、決めておいた時間を働いたとみなすしくみです。たとえば「1日9時間とみなす」なら、7時間の日も11時間の日も9時間として数えます。

ふつうの働き方とのちがい ふつうの働き方 働いた時間を そのまま数える 裁量労働制 決めた時間を 働いたとみなす 使えるのは 法律が決めた 仕事と手続きだけ
どんな仕事にも使えるわけではない、という点がいちばん大切です。

求人でよく見る書き方

書き方読み方
専門業務型裁量労働制(1日8時間みなし)法律が決めた専門の仕事。みなしは8時間
企画業務型裁量労働制(1日9時間みなし)会社の運営の企画などの仕事。1時間分は時間外
裁量労働制(残業代なし)みなし時間が書いていない。深夜や休日の扱いも不明
自分のペースで働けます制度の名前がない。どの労働時間制かを聞く
木下美紀人材紹介事業
責任者

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木下美紀

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法律の決まり:2つの型と、2024年4月からの変更

裁量労働制には、法律で決まった2つの型があります。どちらも、会社が勝手に始められるものではありません。

決まり内容
専門業務型(労働基準法第38条の3)国が決めた20の業務だけ。労使の協定を結び、労働基準監督署に届け出る
企画業務型(労働基準法第38条の4)会社の運営についての企画・立案・調査・分析の仕事。労使委員会の決議と本人の同意がいる
本人の同意(2024年4月から)専門業務型でも本人の同意と、同意をやめる手続きを決める。同意しない人を不利に扱ってはいけない
みなしでも残るルール休憩、法定休日の労働、深夜(22時〜5時)の労働の決まりは使われる
手続きがないとき要件を満たさずに使った場合、ふつうの時間の決まりと残業代がさかのぼってかかる

専門業務型で認められている仕事の例

仕事例
研究開発新しい商品や技術の研究開発
情報処理システムシステムの分析・設計、システムコンサルタント
取材・制作新聞・出版の記事の取材や編集、番組のプロデューサー・ディレクター
デザイン・広告服や工業製品などのデザインの考案、コピーライター

対象の仕事と、それ以外の仕事をまぜて行う場合は、対象外の仕事が少しでも予定されていれば使えないとされています。

出典:労働基準法第38条の3・第38条の4、厚生労働省「専門業務型裁量労働制の解説」(2024年3月)、確かめよう労働条件Q&A「専門業務型裁量労働制の同意拒否や撤回で不利益が生じますか?」。

全国のデータ:使っている会社はわずか

国の調査では、裁量労働制を使っている会社は多くありません。専門業務型が2.2%、企画業務型が1.0%でした。外回りの仕事などで使われる「事業場外みなし」と比べると、ずっと少ない数字です。

みなし労働時間制がある会社の割合(種類別) 事業場外みなし 13.3% 専門業務型裁量 2.2% 企画業務型裁量 1%
裁量労働制は、使える仕事も手続きも限られた制度です。
ここから読めること応募するときの見方
使っている会社は100社に3社ほどよく見る求人の言葉ではない。名前が出たら中身を聞く価値がある
使える仕事が決まっている営業や事務の求人で出てきたら、とくに注意して確かめる

出典:厚生労働省「令和6年就労条件総合調査」(第10表)。

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計算で見る:みなし時間と実際の時間のずれ

裁量労働制の給料は、みなし時間が何時間かで決まります。法律で決まった1日8時間を超えるみなし時間なら、その分は時間外として割増がつきます(次の数字は月20日出勤、時給にすると1,500円とした計算の例です)。

みなし時間実際の平均時間外として払われる分(月)実際との差
8時間8時間0時間なし
8時間10時間0時間月40時間分が数えられない
9時間9時間20時間(約37,500円)なし
9時間11時間20時間(約37,500円)月40時間分が数えられない

みなし9時間の会社は、毎日1時間分の時間外の割増(1,500円×1.25×20時間)が給料に入ります。ただ、実際の時間がみなしより長い日が続くと、その分は給料に出てきません。

計算で見えること

  • 大切なのは「みなし時間」と「実際の平均」の差
  • 22時〜5時の深夜の労働には、みなしでも割増がつく
  • 法定休日に働いた分も、別に割増がつく

残業代が先に入っている給料の読み方は、「固定残業20時間」の記事も参考になります。

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なぜ「やめとけ」と言われるのか

仕事の進め方を本当にまかされているなら、裁量労働制は働きやすい制度です。ただ、次のような形で使われていると、長く働いても報われにくくなります。

入ってから聞く声起きていること
帰る時間は自由のはずが、毎晩遅い仕事の量が多く、時間の配分をまかされていない
朝礼と定例会議で1日が決まっている出社や会議の時間を細かく指示されている
新人なのに裁量労働制と言われた進め方を自分で決められる立場にない
営業の仕事も任されている対象外の仕事がまざり、制度を使えない形になっている
同意した覚えがない本人の同意の手続きがとられていない

とくに未経験の20代は、仕事の進め方を先輩に教わる段階です。入ってすぐに「時間の配分はおまかせ」と言われる働き方が合うかは、よく考えたいところです。

求人票の実例を読む

裁量労働制の書き方を、3つの型に分けて読みます(実在の会社の求人ではなく、よくある書き方の例です)。

求人票の書き方読み方面接で聞くこと
専門業務型裁量労働制(システムの設計、1日8時間みなし)、深夜・休日の割増あり対象の仕事・みなし時間・割増が書いてある部署の実際の平均の労働時間
裁量労働制のため残業代なし。未経験歓迎、研修後に営業とシステム企画を担当新人で、対象外の営業もまざるどの型の制度で、いつから使うのか
みなし労働時間制(1日9時間)、コアタイムなし裁量労働制か、ほかのみなし制かがわからない制度の正しい名前と、対象の仕事

2つ目のように、「残業代なし」と「未経験歓迎」が並ぶ求人は、制度が正しく使われているかを必ず確かめましょう。

未経験歓迎希望に合う求人を、ご紹介します希望の職種と連絡先を入れるだけ。営業・事務・IT・施工管理などから、担当者がお探しします。 求人を紹介してもらう

求人票と面接で確かめること

どの型で、どの仕事か

専門業務型か企画業務型か、自分の仕事がどれに当たるかを聞きます。

みなし時間と、実際の平均

みなし時間と、配属先の実際の平均の労働時間をセットで聞きます。

同意の手続き

入社のときに同意の書面があるか、あとで同意をやめられるかを確かめます。

時間の記録と健康の見守り

働いた時間をどう記録しているか、長く働いた人への対応があるかを聞きます。

ここに当てはまれば、応募を見直す 未経験の新人なのに、入社すぐ裁量労働制になる 対象の20業務のどれに当たるか、答えてもらえない 営業や事務など、対象外の仕事もまざっている みなし時間より、実際の平均が毎日2時間以上長い
2つ以上当てはまるなら、ほかの求人と並べて比べてから決めましょう。

聞きにくい働き方の中身は、担当のエージェントが会社に確かめます

  • 配属先の実際の平均の労働時間
  • 新人がいつから制度の対象になるか
  • 同意の手続きと、同意しない場合の扱い

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入社したあとにやること

裁量労働制でも、自分の働いた時間を自分で残しておくことが大切です。会社には、働く人の健康を守るために、働いた時間の状況をつかむ決まりがあります。

入社して最初の3か月 入社時 同意の書面と 協定の中身を見る 毎日 始めと終わりの 時刻をメモ 月末 みなし時間と 実際を比べる 3か月目 差が大きければ 上司に相談
みなしと実際の差が続くときは、仕事の量や進め方を見直してもらいましょう。
確かめることどこで見るか
対象の仕事とみなし時間労使の協定、労働条件通知書
同意と、同意をやめる手続き同意の書面、就業規則
深夜・休日の割増給与明細

困ったときの相談先

聞いていた仕事とちがう、同意していないのに裁量労働制にされた、深夜や休日の割増が払われない、といったときは、公的な窓口に無料で相談できます。

窓口相談できること
総合労働相談コーナー(各都道府県の労働局・労働基準監督署の中)働く時間や職場のトラブル全般
労働基準監督署制度が手続きどおりに使われていない、割増が払われないなど
労働条件相談ほっとライン(厚生労働省の委託事業)夜や土日も電話で相談できる
法テラス弁護士への相談の窓口の案内

相談には、求人票、労働条件通知書、同意の書面、自分の働いた時間のメモ、給与明細を持っていくと話が早く進みます。法律の判断が必要なことは、この記事では答えられません。

無料・メールで届きます入社前チェックシート(18項目)求人票8項目・面接6項目・内定後4項目。応募の前に、1枚で確認できます。 メールで受け取る

まとめ:裁量労働制は「仕事・みなし・実際」の3点で確かめる

「裁量労働制」の求人で見ること

  • 専門業務型か企画業務型か、対象の仕事に当たるか
  • みなし時間は何時間か
  • 配属先の実際の平均の労働時間
  • 同意の手続きと、同意をやめられるか
  • 深夜・休日の割増が払われるか

裁量労働制は、使える仕事も手続きも限られた制度です。自分の仕事が対象に当たり、みなし時間と実際の時間が近い会社なら、働き方の自由を生かせます。ほかのみなし制との区別は「みなし労働時間制」の記事、時間を自分で決める別の制度は「フレックスタイム制」の記事もどうぞ。

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よくある質問

裁量労働制だと、残業代はまったく出ないのですか?

みなし時間が1日8時間を超えていれば、その分は時間外の割増がつきます。深夜(22時〜5時)や法定休日に働いた分にも割増がつきます。

どんな仕事でも裁量労働制にできますか?

できません。専門業務型は国が決めた20の業務だけ、企画業務型は会社の運営の企画・立案・調査・分析の仕事だけで、決まった手続きも必要です。

2024年4月から何が変わりましたか?

専門業務型でも、本人の同意を得ること、同意をやめる手続き、同意しない人を不利に扱わないことを、労使の協定で決めることになりました。

同意しないと、入社できないのですか?

同意しなかったことを理由に、解雇や減給など不利に扱うことは禁止されています。入社前に、同意しない場合の働き方を聞いておきましょう。

裁量労働制の会社は多いですか?

国の調査では、専門業務型がある会社は2.2%、企画業務型は1.0%でした(令和6年就労条件総合調査)。

未経験でも裁量労働制で働けますか?

制度上は、対象の仕事で手続きがとられていれば対象になりえます。ただ、仕事の進め方を自分で決められる段階かどうかは、よく確かめましょう。

みなし時間より長く働いた分はどうなりますか?

みなし時間で数えるため、給料には出てきません。差が大きい状態が続くときは、仕事の量や制度の使い方を会社に相談しましょう。

裁量労働制とフレックスタイム制はどうちがいますか?

フレックスタイム制は、始まりと終わりの時刻を自分で決めつつ、働いた時間はそのまま数えます。裁量労働制は、決めた時間を働いたとみなします。

制度が正しく使われていないと思ったら、どこに相談できますか?

総合労働相談コーナー(労働局・労働基準監督署の中)に無料で相談できます。手続きを満たしていない場合、ふつうの時間の決まりと残業代がさかのぼってかかることがあります。

働く時間がはっきりした求人を探したいです。

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木下美紀
監修:木下美紀(samurai HR 人材紹介事業 責任者) 年間100名の求職者の転職を支援しています。 執筆:samurai HR 編集部(株式会社SAMURAI不動産/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-319169)。20代・30代の未経験からの転職を支援しています。

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