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しくじり転職2026-11-08 公開 | 約11分で読めます

【裁判例】有給休暇を取って不利に扱われたケース|手当や評価が下がるのはどこまで許されるか、次の転職で防ぐ方法

監修 ・ 人材紹介事業 責任者 木下美紀 しくじり転職 【裁判例】有給休暇を取って 不利に扱われたケース samurai HR | 2026-11-08

有給休暇を取った月だけ、給与明細の皆勤手当が消えていた。休んだあとの面談で、評価を下げると言われた。有給休暇は働く人の権利のはずなのに、取ると損をする。そんな職場の決まりは許されるのでしょうか。最高裁判所は、結論が分かれる2つの判決で、その物差しを示しています。判決の考え方と、入る前に気づく方法、次の転職の準備をまとめました。

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どんな事件だったか:有給休暇を取ると皆勤手当が出ない決まり

有給休暇で不利に扱われるしくじりは、次のような流れで起きることがあります(公的な判決や相談の例をもとにした、よくある流れです)。

よくある流れ 入社 皆勤手当つきの 給与で働く 休み 体調をくずし 有給を取る 明細 その月の手当が なくなっている 質問 有給も欠勤と 同じと言われる
入社のときに手当の条件を読んでいないと、休んでから初めて気づきます。

この記事の柱は、タクシー会社の乗務員が、月ごとの勤務の予定表ができたあとに年次有給休暇(年休)を取ったところ、皆勤手当が払われなかった事件です。乗務員は、払われなかった手当を求めて訴えました。

項目内容
裁判所と日付最高裁判所 第二小法廷、平成5年6月25日
会社の決まり勤務の予定表ができたあとに年休を取ると、その月の皆勤手当を払わない
働く人の訴え年休を取ったことで手当を払わないのは許されない
結果働く人の訴えは退けられた(会社の決まりは無効とまではいえない)

出典:最高裁判所 第二小法廷 平成5年6月25日判決(平成4年(オ)第1078号、裁判所「裁判例検索」の判示事項・裁判要旨)。

木下美紀人材紹介事業
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何が争点だったか:年休で手当が減るのは許されるか

争点は、年休を取ったことを理由に手当を払わない決まりが、法律に反して無効になるかでした。

労働基準法には、年休を取った人に賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならないという決まりがあります(附則第136条)。この決まりがあるのに、手当をなくすことはできるのかが問われました。

見方主な考え方
働く人の側に近い見方年休は権利なのに、取ると手当がなくなるのでは、取るなと言われているのと同じだ
会社の側に近い見方予定どおりに出勤してもらうための手当で、年休を取ること自体を禁じているわけではない

最高裁判所は、附則第136条を会社が守るよう努めるべき決まりとし、それだけで決まりの効力を否定するものではないと読みました。

出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」(年次有給休暇に関する裁判例の紹介)。

裁判所はどう判断したか:物差しは「権利を実質的に失わせるか」

最高裁判所は、決まりが無効になるかどうかを、次のような物差しで見ました。

判決の考え方 1 物差し 年休を取る権利を 実質的に失わせるか 2 見たこと 手当の額は 大きくないなど 3 この事件 公序に反し無効 とまではいえない
決まりが、年休を取ること自体をためらわせるほど強いかが見られました。

判決は、その決まりが年休を取る権利の行使を抑え、法律がこの権利を保障した意味を実質的に失わせるものなら、社会の秩序(公序)に反して無効になるという考え方に立ちました。

この事件では、手当の額が相対的に大きくないことなどの事情から、権利を実質的に失わせるとまではいえず、決まりは無効ではないとされました。

出典:最高裁判所 第二小法廷 平成5年6月25日判決(裁判所「裁判例検索」の裁判要旨)。

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結論が分かれるところ:昇給の条件で年休を欠勤のように扱った判決

年休の扱いが無効とされた最高裁判所の判決もあります。違いは、不利な扱いの重さと、年休をためらわせる力の強さです。

見るところ最高裁 平成5年6月25日最高裁 平成元年12月14日
会社の決まり予定表ができたあとに年休を取ると、その月の皆勤手当を払わない出勤した割合が80%に届かない人を昇給の対象から外す。その計算で年休なども休んだ日に数える
不利な扱いの重さその月の手当。額は相対的に大きくない昇給。その先の給料にも響く
結論公序に反し無効とまではいえない年休を取る権利を保障した意味を実質的に失わせるとして、公序に反し無効

出典:最高裁判所 第二小法廷 平成5年6月25日判決(裁判所「裁判例検索」)、厚生労働省「スタートアップ労働条件」Q&A(年次有給休暇の取得と不利益な取扱い。最高裁判所 第一小法廷 平成元年12月14日判決の紹介)。

読み取れること

  • 年休を理由にした不利な扱いが、いつも無効になるわけではない
  • 見られるのは、扱いの重さと、年休を取るのをためらわせる力の強さ
  • 昇給のように、その先の給料にまで響く扱いは、無効とされやすい

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法律と国の考え方:年休を欠勤扱いにしない

判決とは別に、国は、年休を取った人への不利な扱いについて、はっきりした考え方を示しています。

決まり・考え方内容
不利な扱いをしない(労働基準法附則第136条)年休を取った人に、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない
国の解釈(昭和63年の通達)精皆勤手当や賞与を計算するときに、年休を欠勤のように扱うことなどは、不利益な取扱いに当たる
国のQ&A年休を取ったことを賞与の査定でマイナスに扱うのは、この決まりに反し許されない
年5日の取得(同法第39条第7項)年10日以上もらう人には、会社が1年に5日を時季を決めて取らせる。違反は30万円以下の罰金(第120条)
時効使わなかった年休は、2年で時効になる

出典:労働基準法第39条・第120条・附則第136条(e-Gov法令検索)、厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A(年次有給休暇の不利益取扱い、昭和63年1月1日 基発第1号)、厚生労働省「労働基準法に関するQ&A」。

判決が引くのは「無効になるか」の線ですが、国の考え方はそもそも不利に扱わないという方向です。

データで見る:有給休暇は平均何日取れているか

全国では、有給休暇の取得は少しずつ増えています。

有給休暇の日数(1人あたりの平均) もらえた日数 18.1日 実際に取れた日数 12.1日
2024年1年間の状況です。取得率は66.9%(前の年の調査は65.3%)。

出典:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」(2025年12月19日公表)。数値は労働政策研究・研修機構「ビジネス・レーバー・トレンド」2026年3月号の紹介で確認。前の年の調査(令和6年)は、もらえた日数16.9日・取れた日数11.0日・取得率65.3%。

応募先の取れている日数が平均より大きく少ないときは、取りにくい理由がないかを確かめましょう。取得率の読み方は「有給取得率」の記事にまとめています。

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入社前にどこで気づけたか:求人票・面接・内定後

年休での不利な扱いは、手当の条件と評価の決まりで気づけることがあります。よくある書き方の例(実在の会社ではありません)と、確かめたいことです。

場面よくある書き方・言い方確かめたいこと
求人票「皆勤手当 月1万円」年休を取った月も払われるか
求人票有給の取得日数の記載がない前の年度の平均取得日数を教えてもらえるか
面接「みんなあまり有給は使わないかな」取りにくい理由は何か。人の数か、決まりか
内定後就業規則の手当の欄に「欠勤した月は不支給」欠勤に年休が含まれるか

新卒などの若い人を募集する会社は、応募した人などから求められると、職場の情報を示すことになっています。示す情報の例の1つに、前の年度の有給休暇の平均取得日数があります。聞きにくいときは、この情報を求める形で確かめる方法もあります。

出典:青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)第13条・第14条、厚生労働省「青少年雇用情報シートの書き方のポイント」。

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防ぐには:年休の見送る線を決めておく

年休のしくじりは、応募の前に線を決めておくと防ぎやすくなります。

この休みの条件なら考え直す 皆勤手当や賞与の決まりで、年休が欠勤と同じに数えられる 年休を取ると評価が下がると、面接で当然のように言われる 有給の平均取得日数を聞いても、教えてもらえない 年休の申し出に、理由を細かく書かせる決まりがある
どれか1つでも当てはまるなら、承諾の前に説明を求めましょう。

条件ごとの見送る線は、「有給取得率」、「労働条件通知書」、「賞与年2回」の記事にまとめています。給料が入社後に下がった判決は「入社後に給料を下げられた」の裁判例の記事もどうぞ。

困ったときの相談先:明細と申し出の記録を残す

いつ年休を取り、何がどう変わったかを示せる記録が手がかりになります。

残しておくもの

  • 年休を申し出た日と、取った日の記録(申請の画面やメール)
  • 年休を取った月と取らなかった月の給与明細
  • 就業規則・賃金規程の手当や賞与の欄
  • 評価の面談で言われたことのメモ(日時と内容)
窓口相談できること・受付
総合労働相談コーナー(労働局・労働基準監督署の中など)年休の扱いなど、働く条件のトラブル。無料・予約なし、面談か電話
労働基準監督署年休を与えない、年5日を取らせないなど、法律の違反が疑われるとき
労働条件相談ほっとライン(厚生労働省の委託事業)平日17時〜22時、土日祝9時〜21時(年末年始を除く)。無料・匿名で電話で

法律に当てはまるかの判断は、こうした公的な窓口に相談してください。

出典:厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」「労働条件相談ほっとライン」。

無料・メールで届きます入社前チェックシート(18項目)求人票8項目・面接6項目・内定後4項目。応募の前に、1枚で確認できます。 メールで受け取る

次の転職で内定を勝ち取るために

休みを取りにくい職場で辞めた経験は、話し方を間違えると「休みたいだけの人」と受け取られがちです。体調を整えて長く働くために、働き方を選び直した経験として伝えましょう。

職務経歴書の書き方(ビフォー・アフター)

書き方
ビフォー有給が取れない職場だったため、1年で退職。
アフター家電の量販店で1年、接客とお客さまへの配送の手配を担当。1日20件ほどの配送の日程を組み、聞きもれを防ぐための確認表を作って、売り場のスタッフと共有しました。

面接での答え方(退職の理由)

答え方の例
前の職場では、休みを取ると手当や評価に響く決まりがあり、体調をくずしたときに休みにくい状態でした。長く力を出せるよう、休みの決まりがはっきりした環境で働きたいと考えています。そのぶん、任された仕事は期日までにやりきることを大切にしています。

仕事への向き方を必ず添えるのがポイントです。退職理由の話し方は「面接で退職理由はどう話す?」の記事でくわしく取り上げています。

出す前・話す前のチェックリスト

  • 応募する会社の手当と賞与の決まりで、年休がどう数えられるかを確かめる準備をした
  • 前の年度の有給の平均取得日数を聞く準備をした
  • 職務経歴書に、受け持った仕事の量と工夫を書いた
  • 退職の理由を、休みの話だけで終わらせず、仕事への向き方と合わせて1分ほどで話せる

休みの決まりまで確かめて仕事を選びたい人は、samurai HRに相談してください。希望を伺って、未経験から応募できる求人をご案内します。

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よくある質問

有給休暇を取ったら皆勤手当がなくなりました。違法ですか?

国は、精皆勤手当を計算するときに年休を欠勤のように扱うことは、不利益な取扱いに当たるとしています。一方、最高裁判所は、手当の額が大きくないなどの事情から、皆勤手当を払わない決まりを無効とまではいえないとした判決もあります。個別の判断は、総合労働相談コーナーなど公的な窓口に相談してください。

有給を取ったことで、賞与や評価を下げられますか?

国のQ&Aでは、年休を取ったことを賞与の査定でマイナスに扱うのは許されないとしています。昇給の条件で年休を休んだ日に数えた決まりを無効とした最高裁判所の判決もあります。

附則第136条があるのに、なぜ手当の決まりが有効とされたのですか?

最高裁判所は、この決まりを会社が守るよう努めるべきものと読み、それだけで決まりの効力を否定するものではないとしました。そのうえで、年休を取る権利を実質的に失わせるほどの扱いかを見て、この事件ではそこまでではないとしました。

会社は、年休の日を変えさせることができますか?

事業の正常な運営を妨げる場合に限って、ほかの時季に変えられます(労働基準法第39条第5項)。長く続けて休むときは、事前に職場と日程を相談しておくと、日をずらされる心配が小さくなります。

年休を取る理由は、会社に言わないといけませんか?

最高裁判所は、働く人が休む始まりと終わりの日を決めて申し出れば、会社が時季を変えない限り年休は成り立つとしています。理由を細かく書かせる決まりがある職場は、取りにくさの表れかもしれません。

使わなかった有給休暇は、どうなりますか?

使わなかった年休は、2年で時効になります。年10日以上もらう人には、会社が1年に5日を取らせる義務があり、違反には30万円以下の罰金があります。

有給で不利に扱われたとき、どこに相談できますか?

総合労働相談コーナー(各地の労働局や労働基準監督署の中など)に無料・予約なしで相談できます。平日の夜や土日祝は、労働条件相談ほっとラインも使えます。年休の記録と給与明細を残しておきましょう。

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木下美紀
監修:木下美紀(samurai HR 人材紹介事業 責任者) 年間100名の求職者の転職を支援しています。 執筆:samurai HR 編集部(株式会社SAMURAI不動産/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-319169)。20代・30代の未経験からの転職を支援しています。

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