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しくじり転職2026-11-06 公開 | 約10分で読めます

【裁判例】求人票の給料と実際の給料が違ったケース|「見込額」の読み方と、次の転職で防ぐ方法

監修 ・ 人材紹介事業 責任者 木下美紀 しくじり転職 【裁判例】求人票の給料と実 際の給料が違ったケース samurai HR | 2026-11-06

求人票で見た月給と、入社して受け取った給与が違う。転職の相談でよく聞く悩みの1つです。求人票の金額は、会社との約束になるのでしょうか。裁判所は、求人票の金額を「見込額」としたうえで、それを大きく下回ることは許されないという物差しを示しました。判決の考え方と、入る前に気づく方法、次の転職の準備をまとめました。

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どんな事件だったか:求人票の「見込額」をめぐる判決

求人票と給料のしくじりは、次のような流れで起きることがあります(公的な判決や相談の例をもとにした、よくある流れです)。

よくある流れ 応募 求人票に 月給25万円 内定 条件の書面は よく見ずに承諾 入社 最初の給与が 思ったより低い 質問 求人票の額は 見込みと言われる
金額の違いに気づくのが入社後だと、打てる手が少なくなります。

この記事の柱は、入社後の初任給が、求人票に書かれた基本給の見込額を下回ったとして、働く人が差額を求めた事件です。

項目内容
裁判所と日付東京高等裁判所、昭和58年12月19日
どんな訴えか入社後の給料が、求人票の基本給の見込額より低かったとして、差額の支払いを求めた
結果働く人の請求は退けられた

出典:東京高等裁判所 昭和58年12月19日判決(昭和54年(ネ)第2562号、裁判所「裁判例検索」)、厚生労働省「確かめよう労働条件」裁判例の解説「募集条件と実際の労働条件が異なる場合」。

木下美紀人材紹介事業
責任者

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木下美紀

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何が争点だったか:求人票の金額は「約束」か「見込み」か

争点は、求人票に書かれた給料の額が、そのまま労働契約の内容になるかでした。

求人票は、応募を呼びかけるためのものです。一方で、働く人は求人票を見て応募を決めます。どちらの見方を重く見るかで、結論が変わります。

見方主な考え方
働く人の側求人票の額を信じて応募したのだから、その額で契約したはずだ
会社の側求人票の額はあくまで見込みで、あとで確定することが前提だった

とくに新卒の採用のように、求人を出してから入社まで時間があく場合、その間の景気などで給料の額が動くことがあります。「見込額」という書き方は、こうした事情から使われることがあります。

裁判所はどう判断したか:物差しは「著しく下回るか」

裁判所は、求人票の金額について、次の3つの考え方を示しました。

判決の考え方 1 見込額 求人票の額で 当然には決まらない 2 歯止め 著しく下回る額は 信義則上許されない 3 この事件 誤りや誇大な 表示もなかった
3つ目の事情から、この事件では会社の決め方は違反ではないとされました。

まず、内定の時点で契約が成り立っていても、給料が求人票の額どおりに当然決まるわけではないとしました。求人票の金額は見込額だからです。

そのうえで、会社が見込額を著しく下回る額で給料を決めることは、信義則(おたがいに誠実にふるまうべきという原則)に照らして許されないとしました。

この事件では、見込額は経済の動きの予測にもとづくもので、明らかな誤りや誇大な表示もなかったため、違反には当たらないとされました。

出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」裁判例の解説「募集条件と実際の労働条件が異なる場合」、同「労働条件に関するQ&A」。

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結論が分かれるところ:求人票の条件が契約の内容とされた例

求人票の条件がいつも「見込み」で済むわけではありません。別の裁判例では、求人票の条件は、特別な事情がない限り契約の内容になると示されています。

裁判所と日付争われた条件判断の要点
大阪高等裁判所 平成2年3月8日求人票の「期間の定めのない雇用」求人票の条件は、別に合意したなど特別な事情がない限り契約の内容になる。ただしこの事件では、期間つきの契約書に署名したことで条件が変わったとされた
京都地方裁判所 平成29年3月30日求人票の「期間の定めなし・定年なし」入社後に違う条件の書面に署名していても、自由な意思で同意したといえる理由がなければ、同意とは認めない。求人票どおりの条件が契約の内容とされた

出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」裁判例の解説「募集条件と実際の労働条件が異なる場合」。

読み取れること

  • 「見込額」と書いてあっても、大きく下回る額は許されないとされた
  • 求人票の条件は、特別な事情がない限り契約の内容になりうる
  • 違う条件の書面に署名したかどうかと、その経緯が大きく見られる

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法律の決まり:求人票と違う条件を示すときのルール

判決のあとに、求人の条件の示し方の決まりは何度も見直されてきました。いまの主な決まりです。

決まり内容
条件の明示(職業安定法第5条の3)求人のときに、仕事の内容・賃金・労働時間などを示す。契約の前に条件を変えるときは、変える内容を示す
正しい表示(同法第5条の4)うその表示や、誤解を生じさせる表示をしてはいけない。情報を正確で最新に保つ
変更の示し方(国の指針)最初の条件と比べられる書面で示すのが望ましい。書面の変わった所に下線や色をつける方法もある
契約のときの明示(労働基準法第15条)賃金などは書面(本人が望めばメールなども可)で示す。示された条件が事実と違えば、働く人はすぐに契約を解除できる
罰則(職業安定法第65条)うその広告や、うその条件を示して募集したときは、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金

2024年4月からは、求人のときに示す条件に、仕事内容と働く場所の変更の範囲、契約を更新する場合の基準も加わりました。

出典:職業安定法第5条の3・第5条の4・第65条、職業安定法施行規則第4条の2、労働基準法第15条、労働基準法施行規則第5条(e-Gov法令検索)、「職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者…等が均等待遇、労働条件等の明示…等に関して適切に対処するための指針」(平成11年労働省告示第141号)。

差はいくらになるか:月2万円の違いは年24万円

求人票と実際の給料の差は、毎月は小さく見えても、1年、3年と積み重なります。分かりやすくした例で計算します。

項目例
求人票の月給25万円
入社後の月給23万円
毎月の差2万円
月2万円の差が積み重なると 1年 24万円 2年 48万円 3年 72万円
賞与や昇給の計算のもとが月給なら、差はさらに広がることがあります。

差が「著しい」かどうかは、事件ごとの事情で判断されます。ここでの計算は、入社前に確かめる大切さを示すための例です。

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入社前にどこで気づけたか:求人票・面接・内定後

給料の違いは、求人票の書き方と内定のあとの書面で気づけることが多くあります。よくある書き方の例(実在の会社ではありません)と、確かめたいことです。

場面よくある書き方・言い方確かめたいこと
求人票「月給25万円〜35万円」未経験で入る人は、幅のどこから始まるか
求人票「月給25万円(固定残業代を含む)」基本給はいくらか、固定残業代は何時間分か
求人票「初任給(見込み)」確定するのはいつか、去年の実際の額はいくらか
面接「経験に応じて決めます」自分の場合の額を、内定の前に示してもらえるか
内定後労働条件通知書の金額が求人票と違うどこがなぜ違うのか。比べられる書面でもらえるか

内定のあとに受け取る書面は、署名する前に求人票と横に並べて読みましょう。違うところに気づいたら、その場で理由を聞くことが大切です。

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防ぐには:給料の見送る線を決めておく

給料のしくじりは、応募の前に線を決めておくと防ぎやすくなります。

この給料の条件なら考え直す 内定のあとの書面の額が、求人票より低く、理由の説明がない 固定残業代の時間数や、こえた分の払い方が書いていない 「月給◯万円〜」の幅のどこから始まるかを教えてもらえない 条件の書面を、入社の日まで出してもらえない
どれか1つでも当てはまるなら、承諾の前に説明を求めましょう。

条件ごとの見送る線は、「労働条件通知書」、「みなし残業」、「基本給が低い」、「オファー面談」の記事にまとめています。

困ったときの相談先:求人票を残しておく

給料が求人票と違うと思ったら、入社前の書類が手がかりになります。

残しておくもの

  • 応募したときの求人票(画面の写しや印刷)
  • 面接や内定のときのメール、条件の説明のメモ
  • 労働条件通知書・雇用契約書
  • 入社後の給与明細
窓口相談できること
総合労働相談コーナー(労働局・労働基準監督署の中)求人と実際の条件の違いなど、働く条件のトラブルを無料で
労働基準監督署決まった賃金が払われないとき
労働条件相談ほっとライン(厚生労働省の委託事業)平日の夜や土日・祝日も、無料・匿名で電話で

法律に当てはまるかの判断は、こうした公的な窓口に相談してください。

出典:厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」「若者の『使い捨て』が疑われる企業等への取組等(相談体制・情報発信等)」。

無料・メールで届きます入社前チェックシート(18項目)求人票8項目・面接6項目・内定後4項目。応募の前に、1枚で確認できます。 メールで受け取る

次の転職で内定を勝ち取るために

給料の違いで早く辞めた経験は、面接で話しにくいものです。ただ、条件を確かめる力が身についた経験として伝えることができます。

職務経歴書の書き方(ビフォー・アフター)

書き方
ビフォー求人票と給料が違ったため、半年で退職。
アフター通信機器の販売店で6か月、接客とお客さまへの料金プランの説明を担当。1日10組ほどの案内を受け持ち、説明の順番を自分用のメモにまとめて、案内の時間を短くしました。

面接での答え方(退職の理由)

答え方の例
入社前に聞いていた給与の条件と、実際の条件に違いがあり、話し合いましたが折り合いがつかず退職しました。今回は条件を書面でしっかり確かめたうえで、長く働ける会社を選びたいと考えています。

前の会社を責める言い方は避け、事実を短く、次にどう選ぶかを長く話すのが基本です。退職理由の話し方は「面接で退職理由はどう話す?」の記事でくわしく取り上げています。

出す前・話す前のチェックリスト

  • 応募する求人票を保存し、基本給と固定残業代を分けて読んだ
  • 内定のあとの書面を、求人票と並べて確かめる準備をした
  • 職務経歴書に、受け持った仕事と工夫を書いた
  • 退職の理由を、前の会社の不満ぬきで1分ほどで話せる

この記事のポイント

  • 求人票の金額は見込額とされたが、著しく下回る額は許されないとされた
  • 求人票の条件は、特別な事情がない限り契約の内容になりうる
  • 違う条件を示すときは、契約の前に変更の内容を示す決まりがある
  • 署名の前に、求人票と書面を並べて確かめる

給料の条件まで確かめて仕事を選びたい人は、samurai HRに相談してください。希望を伺って、未経験から応募できる求人をご案内します。

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よくある質問

求人票の給料は、会社との約束になりますか?

裁判例では、求人票の条件は特別な事情がない限り契約の内容になるとされたものがあります。一方、求人票の金額を「見込額」として、その額で当然に決まるわけではないとした判決もあります。ただしその判決も、見込額を著しく下回る額で決めることは許されないとしています。

「見込額」と書いてある求人票は、どう読めばいいですか?

あとで額が確定することを前提にした書き方です。確定するのはいつか、去年に入った人の実際の額はいくらかを、内定の前に確かめておきましょう。

内定のあとの書面の金額が、求人票より低いです。

署名する前に、どこがなぜ違うのかを会社に聞きましょう。求人のときに示した条件を契約の前に変えるときは、変える内容を示す決まりがあり、国の指針では最初の条件と比べられる書面で示すのが望ましいとされています。

違う条件の書面に署名してしまいました。もう何も言えませんか?

裁判例では、署名したことだけでなく、その経緯や説明の内容から、自由な意思で同意したといえるかを見たものがあります。個別の判断は、総合労働相談コーナーなど公的な窓口に相談してください。

求人票にうその給料を書くのは、法律違反ですか?

職業安定法は、求人の情報でうその表示や誤解を生じさせる表示をしてはいけないと定めています。うその広告や条件を示して募集したときの罰則もあります(6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)。

入社してから条件が違うと分かったら、すぐ辞められますか?

労働基準法では、契約のときに示された条件が事実と違う場合、働く人はすぐに契約を解除できると定めています。どの条件が違うのかを書面で確かめ、公的な窓口に相談しながら進めると安心です。

給料が求人票と違うとき、どこに相談できますか?

総合労働相談コーナー(各地の労働局や労働基準監督署の中)に無料で相談できます。平日の夜や土日は、労働条件相談ほっとラインも使えます。求人票・条件の書面・給与明細を残しておきましょう。

条件をきちんと確かめられる求人を探したいです。

samurai HRでは、希望を伺って、未経験から応募できる求人をご案内します。給料の内訳や条件の書面の確かめ方もいっしょに整理します。相談は無料です。

木下美紀
監修:木下美紀(samurai HR 人材紹介事業 責任者) 年間100名の求職者の転職を支援しています。 執筆:samurai HR 編集部(株式会社SAMURAI不動産/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-319169)。20代・30代の未経験からの転職を支援しています。

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